先日、日本政府がオープンデータのデータカタログサイト『data.go.jp』のベータ版を公開しました。
オープンデータカタログサイトはアメリカが立ち上げた『data.gov』という先駆者があり、実際にこのオープンデータを使ったサービスがいくつもあります。
今回は、オープンデータを使うと、どんなことが出来るようになるのかをまとめてみました。
オープンデータで出来るようになること
どのようなサービスがあるかをまとめる前に、オープンデータを活用すると出来るようになることを知っておきたいと思います。
これは、具体的に4つあります。
- 政府の透明化:予算の使い方や法案の審議状況など
- 公共サービスの向上:公共のデータへ簡単にアクセスできるようになることで、市民の公共サービス参加を促せるので、サービスの向上が期待できる
- 経済の活性化:公共データの活用によって新しいビジネスや企業活動の効率化が図れるようになります
- 国際間の協力:複数の国家機関の情報を活用できるようにすることで、国際的に企業や国家間で協力を促進できる
それぞれの事例を見て行きましょう。
1. 政府の透明化
govtrack.us
連邦議会や州議会の法案審議の状況、上院と下院の投票記録など、政府の情報を提供しています。
githubなどでソースコードを公開しており、多くの市民や企業がこのデータを活用しています。
税金はどこへ行った?
日本の政府や自治体が税金をどこへ、いくら利用したのか追跡できるサービス。
政府統計データの可視化
政府の公開した統計データのAPIを元に、日経新聞が視覚化を行ったものです。
人口当たりの公民館や図書館といった公共施設の数がわかるようになっています。
2. 公共サービスの向上
Lewisham
市民が街の環境を損ねたり、問題を見つけたときに書き込むことで、ロンドンの区議会に問題を報告することができます。
その後に、然るべき局が対応し、その状況を知ることができるようになっています。
モバイルアプリも提供されており、リアルタイムで書き込みができます。
カーリル
日本全国の図書館の、本の貸出状況が分かるサービス。
Yokohama Art Search
横浜の美術関連のイベントや施設、作品といった情報を総括的に検索できるサービスです。
3. 経済の活性化
Spikes Cavell
公的機関などの支出削減や効率化、コンプライアンスといったコンサルティングやソリューションを提供しています。
公的機関がデータを公開する時に利用するサービスがあります。
MRIS
政府の公開した情報を収集し、不動産業者に提供するサービスです。
気候や学校、生活費や犯罪発生率など、幅広い情報を取得することができるようになっています。
Homesnap
iPhoneで物件の写真を取ると、位置情報を取得し、物件の住んだときの仮定(例えば通学する学校など)を提供するサービス。
納税記録から逆算し、推定売買額も提示してくれます。
4. 国際間の協力
DebugIT
抗生物質に耐性を持ったウィルスなどのデータを、医療機関から集めて解析し、有効な治療計画を立案するのに役立つポータルサイトです。
ベルギーやドイツなど、EUの14カ国の医療機関や大学が参画しています。
最後に
オープンデータで出来ることをまとめるにあたっては、Open Knowledge Foundationの『オープンデータ活用事例と今後の動向』(PDF)を参考にさせていただきました。
また、ITproの電子行政も参考になりますので、ぜひご一読ください。
オープンデータは2009年に始まったばかりなので、まだまだ世界中で進化するのではないでしょうか。日本でもオープンデータの提供が積極的になりつつあるので、新しいサービスを考えたいですね。
(Photo: [TWS2008] Diet Bldg. of Japan (Kokkai Giji-do) by scion_cho)