KKBOXとは台湾の『KKBOX Inc.』が始めたサブスクリプション(定額型)の音楽配信サービスです。現在は台湾、香港、シンガポール、マレーシアでサービスが展開されています。
特に台湾ではネット人口1300万人のうち、約700万人が登録している(2011年時)という音楽サービス最大手です。2012年1月時点では、900万人のユーザーが利用しています。
2010年12月には、KDDIがKKBOX Incの株式を買収して、連結子会社化しています。
サブスクリプションの音楽配信サービスとは?
最初に説明した通り、定額制の音楽配信サービスです。KKBOXでは、クラウド上にある音楽データを、ストリーミングで無制限に視聴することができます。
こうしたサービスは現在の音楽配信の主流となりつつあります。例えば、Spotify、Pandora Radio、Rdio、Music Unlimitedがあげられます。
これらのサービスは、非常に多くの曲を聴くことができます。Music Unlimitedでは1000万曲以上聴くことができますし、Spotifyは1500万曲以上聴くことができます。一方で、曲を買うわけではないので、料金は安く設定されています。KKBOXは月額149台湾ドル(約480円)です。参考までに、大手サブスクリプションの音楽配信サービスの値段一覧を。
- Last.fm 3ドル(270円)
- Spotify 4.99 or 9.99ドル(450 or 900円)
- Rdio 4.99 or 9.99ドル(450 or 900円)
- Pandora Radio 3.99ドル(360円)
- Deezer 4.99 or 9.99ユーロ(600 or 1200円)
- Music Umlimited 1480円
- レコチョク Best 980円
また、KKBOXを始めとしてSpotifyやPandora Radioでは、有料会員の他に、無料会員も設けています。KKBOXの場合は1日のストリーミングできる数に制限があり、SpotifyやPandora Radioはストリーミング中に広告が入ります。
KKBOXのサービス内容
月額480円で、マルチデバイス(スマートフォン、タブレット、PC)を使って音楽を聴き放題の他にも、様々なサービスがあります。
例えば、アーティストインタビューや、音楽コミュニティなどです。どちらも音楽好きにとってはたまらない機能でしょう。
ランバート・チェン会長は、インタビューの中でKKBOXが成長した理由について、次のように述べています。
「KKBOXの独自な点は、それが音楽を見つけるための単なるソフトウエアではないことです。KKBOXは、エンターテインメントとポップミュージックのメディアであり、音楽愛好者のコミュニティーでもあります。登録制サービスが成功した最大の理由は、会員が満足感を感じることができることです。当社のサービスには、そのような要素を随所に感じることができます。」
音楽サービスのKKBOXが、アジア太平洋地域事業を拡大(Business Wire)
ファン同士が情報交換できる場所を提供することで、満足度が高まり、ロイヤリティが上昇します。これからのサブスクリプションの音楽配信は、こうしたコミュニティ機能が充実する必要があるかもしれませんね。
また、最近サブスクリプションの音楽配信サービスで重要になっている『レコメンド機能』もあります。このレコメンド機能は、自分がKKBOXを使い込めば使い込むほど、ストリーミングで流れる曲が自分好みになっていくというものです。
このレコメンド機能は新しいアーティストや曲を発見できるようになるなど、より自分好みなストリーミングになっていくので、ユーザーにとっては長く使うメリットになります。
日本での展開
KKBOXは日本でサービスを展開していませんが、親会社であるKDDIが音楽配信サービス『LISMO unlimited』と『うたパス』を行っています。
KDDIはLISMO unlimitedとうたパスにKKBOXの技術が使われていると述べています。
このサービスの違い
ちょろっとサービスの違いにも触れておきましょう。
LISMO unlimited
- 1480円で提供されている
- 洋楽が中心
- セレクトチャンネルというプレイリストが用意されている
- プレイリストは自動的に生成されない
- 特定のアーティストを検索して、目当ての楽曲を聴くことができる
うたパス
- 315円で提供されている
- 邦楽が中心
- セレクトチャンネルというプレイリストが用意されている
- 再生状況に合わせて好みのプレイリストが生成される(レコメンド機能)
- 特定のアーティストを指定して再生することはできない
こんなとこところでしょうか。洋楽を徹底的に聴き倒したい場合はLISMO unlimited、日本で新しいアーティストを発掘したい場合はうたパスとなるかと思います。
KDDIの神山氏は、うたパスをラジオの配信のように使って欲しいとインタビューで述べています。
音楽配信サービスでインディーズのアーティストが知名度を上げた例はPandora RadioやSpotifyにいくつもありますので、ぜひ取り組みを強化していって欲しいですね!
まとめ
KKBOXを始めとしたサブスクリプションの音楽配信サービスが世界の主流となりつつある中で、日本でもいくつかのサービスが始まっています。
今後もサブスクリプションのサービスが増えていくと予想されます。そうした状況でアジアでシェアを伸ばしているKKBOXが、どのように展開していくのか注目です。