数多くの国で検索エンジンシェアナンバーワンに居座り続けているGoogle。Googleの素晴らしさのひとつに、独自のアルゴリズムに基づいて、ユーザーが高い確率で求める情報を素早く提供することにあります。
それに伴って、Google検索結果の上位に表示されるテクニックであるSEOという言葉が盛んに使われるようになりました。なぜなら、トラフィックの多くはGoogleを始めとする検索エンジンから訪れるからです。しかしSEOはGoogleの気まぐれによって対応を求められると揶揄されるほど複雑なもので、近付き難いと思っている方も多いのではないでしょうか。
今回はGoogleが目指す検索エンジンと、最近、そして近い将来のSEOについてまとめましたので、ご参考いただければと思います。
1. Googleが目指す検索エンジン
Googleのカンパニーページから窺い知ることが出来ますので、いくつか見てみましょう。
Googleの共同創設者ラリー・ペイジ氏は「完璧な検索エンジンとは、ユーザーの意図を正確に把握し、ユーザーのニーズにぴったり一致するものを返すエンジンである」と述べたことがあります。これがGoogleが目指す最高の姿であることは言うまでもありません。この言葉を裏返せば「ユーザーが求めない情報はいらない」ということになるのではないでしょうか。つまり、Googleはインターネット上の情報に対して、ユーザーが求める情報だけをフィルタリングしているのです。
そして、その方法を示すのが『Googleが掲げる10の事実』にある『4. ウェブでも民主主義は機能する。』という項目です。この項目は、Googleがいかにして情報をフィルタリングしているのかを知ることができます。
4. ウェブでも民主主義は機能する。
Google 検索が機能するのは、どのサイトのコンテンツが重要かを判断するうえで、膨大なユーザーがウェブサイトに張ったリンクを基準としているからです。
(中略)
PageRank のアルゴリズムでは、ページ間のリンクを「投票」と解釈し、どのサイトが他のページから最高の情報源として投票されているかを分析します。
Googleが掲げる10の事実
多くのユーザーが参考にした情報こそ、もっとも信頼性が高い情報であるとして、検索結果の上位に表示されるようになります。まさに民主主義の概念ですね。Googleはこの方法をページランクと読んでいます(ページランク以外にも複雑なアルゴリズムがたくさんあります)。
しかし、この方法には穴があるのです。それを利用すると不要な情報でも上位に表示されてしまう可能性がありました。その穴を埋めるために取られた対策が大きく2つあり、パンダ・ペンギンアップデートと呼ばれています。
2. パンダ・ペンギンアップデート
2.1 パンダアップデート
パンダアップデートは2011年2月に導入されたアルゴリズムで、日本では2012年7月から始まりました。元々はファーマーアップデートと呼ばれており、品質の低いコンテンツを検索結果から排除することが目的とされています。逆に、高品質なコンテンツは上位表示されるようになりました。では、どのようなコンテンツをGoogleは高品質としているのでしょうか? ウェブマスターブログに一例がありますので、抜粋します。
- あなたはこの記事に書かれている情報を信頼するか?
- この記事は専門家またはトピックについて熟知している人物が書いたものか? それとも素人によるものか?
- この記事は独自のコンテンツや情報、レポート、研究、分析などを提供しているか?
- 同じ検索結果で表示される他のページと比較して、はっきりした価値を持っているか?
- サイトの名前を聞いたときに、信頼できるソースだと認識できるか?
良質なサイトを作るためのアドバイス(Google ウェブマスター向け 公式ブログ)
要点は3つにまとめられそうです。つまり、
- 情報は信頼できるか?
- 著作者は、そのジャンルに精通しているか?
- コンテンツは独自性があるか?
ということ。当ブログの週間アクセスランキングが分かりやすい例になるかと思います。3位のガイドライン改訂以外は検索エンジンからのトラフィックがメインです。どれも実例を示しながら解説を加えているため分かりやすいと思いますし、信頼性もあるのではないでしょうか。
他にも、2. 著作者は、そのジャンルに精通しているか?については、今後のGoogleによるアップデートの方向性も含んでいると思われますので詳しく後述します。
2.2 ペンギンアップデート
ペンギンアップデートはアメリカなどで2012年4月に導入されたアルゴリズムです。日本ではパンダアップデートと同じく、2012年7月に導入されました。このアルゴリズムの目的はGoogleのガイドラインに違反しながら検索結果順位を上げようとしているサイトの排除することにあります。例えばGoogleのウェブマスター向けガイドラインによれば、下記の例が該当します。
- 自動生成されたコンテンツ
- リンク プログラムに参加すること
- クローキング
- 不正なリダイレクト
- 隠しテキストや隠しリンク
- 誘導ページ
- 無断で複製されたコンテンツ
- 十分な付加価値のないアフィリエイト プログラムに参加すること
- コンテンツに関係のないキーワードをページに詰め込むこと
- フィッシングや、ウイルス、トロイの木馬、その他のマルウェアのインストールといった悪意のある動作を伴うページを作成すること
- リッチ スニペット マークアップを悪用すること
- 自動化されたクエリを Google に送信すること
いわゆるブラックハットSEOと呼ばれている類いですね。無断複製など、パンダアップデートと被っている内容もありますが、Googleはそれだけ低品質のコンテンツを嫌っているという証左ではないでしょうか。
3.3 パンダアップデートの統合
また、最近、パンダアップデートが通常のアルゴリズム更新に統合されるというアナウンスがありました。
Googleは細かなアルゴリズムの変更を毎日行っています。それは微細なので、検索結果へ大きな影響を及ぼすことはあまりありません。なぜパンダ・ペンギンアップデートがSEOに大きな影響を及ぼしたのかというと、『毎日の微細なアルゴリズム変更』に含まれておらず、『不定期に訪れる巨大なアルゴリズム変更』だったからです。
この統合によって、パンダアップデートがSEOへ及ぼす影響は小さくなると考えられます。
【参考】
米Google、パンダアップデートを通常のアルゴリズム更新に統合へ(SEMリサーチ)
3. Authorship
Googleが次に目指す可能性のひとつとして、Authorship(オーサーシップ)があげられます。これがパンダアップデートで触れた『2. 著作者は、そのジャンルに精通しているか?』にも関係しています。
Googleの言うAuthorshipとは、いわゆるGoogle 著者情報のことで、コンテンツの作者が検索結果に表示されるようになります。このAuthorship設定方法については、こちらをご覧ください。
では、なぜこのAuthorshipが重要になるのでしょうか? その理由にAuthor Rank(オーサーランク)があげられます。
ウェブサイトのコンテンツによって評価を下すパンダ・ペンギンアップデートに対し、Author Rankはコンテンツ制作者(オーサー)へ評価を下します。今までは(ちょっと大雑把ですが)『コンテンツへの評価=検索結果』となっていたのが、『コンテンツ+人への評価=検索結果』になるわけです。だから『2. 著作者は、そのジャンルに精通しているか?』という要素は、より重要さを増していくのです。
さて、このAuthor Rankを決める基準はまだはっきりとわかっていませんが、SEOmozは次のようになるのではないかと予測しています。
- オーサーの平均ページランク
- オーサーの+1を付けられた数とGoogle+でのシェア数(コンテンツに対して)
- オーサーのGoogle+での被サークル数
- Author Rankの高いオーサーとの相互サークル
- オーサーのコンテンツが公開されていること
- オーサーのGoogle+上でのエンゲージメントレベル(例:Google+での投稿)
- オーサーのサイト上でのエンゲージメント(例:コメントに対しての返答)
- 外部サイトでの紹介(例:Wikipediaにページがある)
- Youtubeの動画や、そこでのエンゲージメント
- Googleが信頼性に足ると判断したSNSでの活動(Twitter、Quora、LinkedIn、SlideShare等)
- GoogleブックスやGoogle Scholarに著作物がある(著作物が出版されている)
How to Prepare for AuthorRank and Get the Jump on Google(SEOmoz)
評価の基準に人物が加わっても、重要なのは『コンテンツの質』と言えるのではないでしょうか。良質なコンテンツを作成すれば、ソーシャルメディアでシェアされ、著者への信頼性も高まります。
Author Rankはこれまでに作ってきたコンテンツへの見返り、と考えると分かりやすそうですね。
4. まとめ
Googleの考える検索の基礎について学び、昨年、そしてこれからSEOで大切になるであろうことを駆け足で説明してきました。
その中で、2つの共通点があることに気付いたのではないでしょうか。
- 不正を働かない
- コンテンツの質が重要
最近のSEOを勉強する上でどこでも言われていることですが、ある程度オンページSEOを行った後は、コンテンツの質が鍵を握ります。検索エンジンを意識せず(もちろんキーワード選びなどは重要ですが)、ユーザーの役に立つコンテンツとは何かを考えて、ウェブサイトを運営していきましょう!