Business Insiderは6月27日(現地時間)、米シスコが“500人規模”の新しいビジネス部門を立ち上げたと報道しました。シスコのJohn Chambers氏は、この部門が担うことになる領域は“Internet of Things”(IoT)で、日本では一般的に“モノのインターネット”と呼ばれています。
Chambers氏はIoTの市場規模について、次のように語っています。
モノのインターネットは、次の10年でIT業界の中で最も大きなレバレッジ・ポイントとなると思います。この領域が生み出す利益は14兆ドル(1400兆円)にのぼるでしょう。
Cisco’s John Chambers Has Found A New $14 Trillion Market(Business Insider)
Business Insiderの記事では、「it wasn’t just idle talk.(これは無責任な話ではない)」とつけ加えられています。適切な表現は見つかりませんが、1400兆円といえば、リーマンショックによって1ヶ月で世界から消し飛んだ金額です。
それだけの市場規模を持つ、モノのインターネットとは何でしょうか?
モノのインターネット
今、インターネットに接続にPCは15億台、モバイルは10億台ある(数字は2012年のもの)と言われています。この数字は、2020年に960億台にまで膨れ上がると言います。しかし、その頃の人口予測は76億人前後であろうとされています。どう考えたって、普通の人が12台のPCやモバイルを持っているわけがありません。
960億という数字が達成されるには、あらゆるモノがインターネットへ接続できるようになる必要があるでしょう。実際、それは少しずつ実現しつつあります。日本ではソフトバンクから発売されている『fitbit』が一例と言えます。話題となっているスマートシティも、あらゆるモノがインターネットに接続できるようになって初めて可能となります。
そして、インターネットに接続されているということは、そこから得られるデータがあり、分析し、アクションを起こすことが出来るようになります。シスコのSoderbery氏は、その一例に飛行場をあげています。
飛行機のターンアラウンドタイムが5分短縮することで、年間100万ドルの利益を得られます。
Cisco Internet of Things business unit launched at Cisco Live(SearchNetworking)
補足:トラッキングが可能になるのでサービスをより迅速にし、それを分析することで、効率的な改善を行える。
これらは夢物語ではなく、モノのインターネットは少しずつ現実化されています。コベルコシステムさんのブログに、その一例が取り上げられていましたので、引用させていただきます。
■ 交通システムの最適化
車の混雑状態を検知し、街全体の渋滞の緩和を行う
車同士がお互いに通信し事故を防止■ 店頭や工場での在庫管理の高度化
商品在庫、配置のリアルタイム管理、不正検出
■ 医療モニタリングシステム
各種生体センサーにより体調を管理、必要に応じた医者の診断実施
在宅ケア、遠隔医療などが可能■ 食材のトレーサビリティの実現
食材や素材を個別に管理、生産、加工、流通、販売までの履歴を収集
履歴情報を参照とした食の安全を提供するシステムあらゆるモノがインターネットにつながる世界〜「モノのインターネット(Internet of Things)」(コベルコシステム株式会社)
シスコが立ち上げた部門は、500人の従業員がおり、2億ドルの予算がつき、R&D(調査開発)が行われるとのこと。業界を牽引する原動力となるのでしょうか。モノのインターネットが本格的に動き出すときがきたのかもしれませんね。
みなさんは、あらゆるモノがインターネットに接続されたとき、どのようなことが可能になると思いますか? 「こんなことが出来たら面白い!」と思ったことがあれば、気軽にコメントくださいね!
Cisco Has Quiently Launched A New 500-Employee Business Unit(Business Insider)
(Photo: Booklaunch the Internet of Things by Institute of Network Cultures)