今回ご紹介するのは「ビジネスモデル・ジェネレーション ビジネスモデル設計書」アレックス・オスターワルダー (著 )/ イヴ・ピニュール (著 )/ 小山龍介 (訳 )/ 翔泳社 (出版社 )と「ビジネスモデルYOU」ティム・クラーク (著 )/ アレックス・オスターワルダー&イヴ・ピニュール(共著 )/神田昌典 (訳 )/ 翔泳社 (出版社 )のビジネスモデルのパターンです。
本書では似た性質や構築ブロックの配列を持っていたり、同じような振る舞いをする類似性をビジネスモデルパターンと呼んでいます。そして、代表的なビジネスパターン(ビジネスコンセプト)として5つ取り上げています。
パターン1:アンバンドルビジネスモデル
例)携帯電話業界、プライベートバンキング
アンバンドルビジネスモデル(ビジネスコンセプト)は大きく3つに分かれます。
顧客ビジネス(顧客の探求と獲得、関係づくりを行う)
経済:顧客獲得のコストが高い。財布シェア獲得が緊急の課題。多角化による経済性が重要。
競争:多角化、急速な合併、少数で大ていが支配
文化:高いサービス志向、顧客第一のメンタリティ
製品ビジネス(魅力的な新商品やサービスの開発)
経済:スピードが命。初期の市場参入によりプレミアム価格と大きな市場シェアを獲得できる
競争:優秀な社員の獲得、多くの小さなプレイヤーが繁栄
文化:従業員中心、創造的なスター選手を優遇
インフラビジネス(大量のルーチン作業をこなすプラットフォームの構築と維持を行う)
経済:高い固定費により、単価を下げるためには大きなボリュームが必要。規模の経済。
競争:規模の競争。
文化:コスト志向、不可の標準化、予測可能性、効率化
この3つのビジネスは経済的にも、競争という面からも、文化的にも異なるものです。異なるビジネスをひとつの会社の中に共存させることもできますが、対立やトレードオフを避けるためにも、異なる法人へと分社化するのが理想としています。
パターン2:ロングテール
例)Netflix、eBay、Youtube、Facebook
ロングテールビジネスモデルは多くのものを少しずつ販売するモデルです。あまり頻繁に売れないニッチ製品w数多く提供します。ニッチ商品の売上を集めると、少数の売れ筋収益に依存するこれまでのモデルと同じぐらい、大きな収益を上げることができます。ロングテールビジネスモデルは低い在庫コストに加え、ニッチコンテンツに興味のある購入者が手に入れられるようにするしっかりとしたプラットフォームが必要です。
クリスアンダーソンはメディア産業においてこの現象が起こるには3つの要因があると考えている。
制作ツールの大衆化
技術コストの低下。
流通の大衆化
デジタルコンテンツの流通がコモディティ化。
需要と供給をつなげる検索コストの低減
強力な検索とれ湖面で―ションエンジン、レーティング評価、コミュニティなどにより顧客の探索が非常に簡単になった。
パターン3:マルチサイドプラットフォーム
例)Visa、Google、eBay
マルチプラットフォームは、複数の顧客グループをつなぎ合わせるもので、プラットフォーム上に他の顧客グループが同時に存在する場合にのみ価値が生まれる。ユーザーを獲得すればするほど価値が高まり、ネットワーク効果が得られる。
ポイントは、一つの顧客セグメントを支援することです。まず一方の顧客セグメントへ低価格ないしは無料のオファーをすることでユーザーを引き付け、その後もう一方のサイドのユーザーを惹きつけます。マルチサイドプラットフォーム運営の難しさは、どのサイドを支援すべきなのか、顧客を引き付けるための適切な価格がいくらなのかの理解にあります。
主要なリソースはプラットフォーム
プラットフォーム管理、サービスプロビジョニング、プラットフォームのプロモーション
価値提案は3つの分野
顧客セグメントの誘引、異なる顧客セグメントのマッチング、プラットフォームでの決済によるコスト引き下げ
主要なコスト
プラットフォームの管理、開発
顧客セグメント
マルチサイドプラットフォームのビジネスモデルは独特の構造を持つ。2つ以上の顧客セグメントを持ち、それぞれに価値提案と収益の流れが存在。さらに、顧客セグメントは他のセグメントなしには存在しない。
パターン4:フリー戦略
例)Flickr、Metoro、オープンソース、Skype、Google、無料携帯電話
フリー戦略/フリービジネスモデルにおいて、少なくとも一つの顧客セグメントは、無料オファーの恩恵を継続的に受けられる。パターンの違いによっては無料オファーが可能になるのです。支払いをしない顧客の費用は、ビジネスモデルの別の部分か、他の顧客セグメントによって支払われます。
マルチサイドプラットフォームによる無料オファー(広告ベース)
基本は無料で、プレミアムサービスを有料で提供(いわゆるフリーミアムモデル)
無料もしくは低価格の最初のオファーで誘引して継続購入させる「餌と釣り針」モデル
パータン5:オープンビジネスモデル
例)P&G、グラクソ・スミスクライン、InnoCentive
オープンビジネスモデルとは、他のパートナーと組織的にコラボレーションして価値を創りだすために使うモデル。企業内で外部のアイデアを実行する「アウトサイド・イン」や、社内のアイデアや眠っている資産を外部パートナーに提供する「インサイド・アウト」によって行われる。
ビジネスモデル・キャンバスは強力なツールです。自社のビジネスモデルも一度ビジネスモデルキャンバスで整理してみてはいかがでしょうか?