Facebookページに「いいね!」を大量に押すための工場が、イギリスの番組『Dispatces(ディスパッチス)』によって明らかになりました。
報道によれば、工場があるのはバングラデシュ。1日3交代制で、24時間依頼に合わせて「いいね!」やTwitterのフォロー、YouTubeの再生回数水増し作業を行っているそうです。工場で働いている1人は、FacebookやTwitterのアカウントを1000以上保有しているとのこと。1000いいね!を付けるのに、ものの数時間とのことで、価格は15ドル。バングラディシュの労働者(年収120ドル)にとって、かなり美味しい仕事であるのは言わずもがなでしょう。
この件を報じたThe Guardian紙は、以下のようなセキュリティコンサルタントのコメントを掲載しています。
消費者の31%はいいね!やフォロワーの数を、企業のサービス利用する際に参考としている。
How low-paid workers at ‘click farms’ create appearance of online popularity(The Guardian)
要は、一番分かりやすい信頼性の指標であるということでしょう。つまり、消費者の考えを逆手にとったミスリードと言うことができます。少し前、盛んに言われていたステマと同じような手口です。
この手口の倫理的な問題性について、ステマ問題のときに散々語られていますので、今回の言及については「ユーザーを誑かすマネはやめましょう」程度に留めておきます。その代わり、Facebookの規約的な問題点について見ていきましょう。
規約的な問題
規約に「いいね!」の不正に水増しについて、明確に書かれている項目はありません。しかし、それを暗に禁ずる項目はいくつかあります。当該の項目を見てみましょう。
Facebook利用規約
3. 安全
2. 利用者は他の人のコンテンツまたは情報を収集することはできません。また、弊社から事前に許可を得ることなく、自動化された手段(情報収集ボット、ロボット、スパイダー、スクレーパーなど)を使用して、Facebookにアクセスすることはできません。
この項目の中で当てはまりそうなところは、自動化された手段でFacebookにアクセスすることはできない、という点です。一昔前に、ボットや不正クリックで水増しされたページから、ごっそりいいね!が削除されたことも話題になりましたね。
【参考:フェイスブックが「偽いいね」を削除、その意味(Wired)】
4. 登録とアカウントのセキュリティ
- Facebookで虚偽の個人情報を提供したり、許可を得ることなく自分以外の人のアカウントを作成することはできません。
- 個人用アカウントを複数作成することは認められません。
今回のケースでは“1人が大量のアカウントを作成している”ことから、この項目に違反しています。
先に書いた通り、“水増し”自体を禁止する項目はありません。Facebookヘルプセンターでは、販売方法に問題があるため、水増しされたいいね!を削除するという言い方になっています。
第三者から購入した「いいね!」はどうなったのですか。
「いいね!」の大口販売は、Facebookの利用規約に違反しています。そのような販売を行う第三者は、多くの場合マルウェアと不正なアカウントを利用して、販売用のつながりを取得しています。この行為はFacebookの利用規約とポリシーに違反しています。自分のページ以外のFacebookページに「いいね!」をしたユーザーに対して特典を与えることは禁止されています。購入したつながりは、これらの行為から生成されたものである可能性が高いため、結果的には削除されています。
つまり、規約的な問題点は2つ。
- 中身の入っていない“ボット”が行っている
- 1人が不正のアカウントを大量に用意し、行っている
この2点に違反しており、いいね!を取り消されるだけでなく、凍結の対象となる可能性もあります。だから、このいいね!購入は、いつ爆発するかわからない爆弾を抱えるようなものなのです。そんなものを望んで抱えたいと思いますか?
最後に、EdgeRank Checkerを運用するApplumのSlideShareから、この言葉を引用します。
決して“ファンを買う”ようなマネはするな。質の高いファンベースこそが重要なのであり、そのファンから多くの人々へリーチする可能性が生まれる。
What is Graph Search? (P.12 3: Continue To Build a Fan Base)
(Photo: Factory for sale by Kevin Dooley)