以前にFacebookの投稿にハッシュタグを付けることで、リーチ・エンゲージメントが増加するというEdgeRank Checkerの記事を翻訳いたしました(こちら)。その記事をベースとして、私もリーチやエンゲージメントが増加する可能性があるという記事も書いています。
しかし、どうやら、EdgeRank Checkerが再度調査した結果、ハッシュタグはリーチやエンゲージメントに大きな影響を及ぼさないようなのです。それどころか、多くの場合、減少傾向にあります。「え?」と思いながら読みましたが、データはそれを雄弁に語っています。このデータについてのブログを翻訳しましたので、ご参考ください。
Facebookがハッシュタグをロールアウトしてから、しばらく経過しました。私達は、ハッシュタグがニュースフィードに与える影響を調査するために、データの掘り下げを行いました。驚いたことに、答えは……何もなかった。私達は、こんな答えを望んでいなかったのに!
前提条件として、人々が興味のあるニュースフィード内のハッシュタグオブジェクトを参照するときに、関連するコンテンツを発見するためには、ハッシュタグをクリックする必要があります。ブランドがトレンディング・ハッシュタグを付けて投稿を行うと、現在ファンではない人々がハッシュタグを利用して、その投稿を見てくれる可能性が生まれます。
例えば、私が #EdgeRank をクリックすると、Mari SmithとFacebook Studioの投稿が表示されます:
テクニカルな話をすれば、両方の投稿に1人のバイラルリーチが付いたことになります。ユーザーとして、私が #EdgeRank をクリックしたことで、2バイラルリーチの貢献をしました。マーケティング担当者は、このようなプロセスで、ハッシュタグ付きの投稿のバイラルリーチに影響があることを覚えておいてください。しかし、このデータは、ハッシュタグ付きの投稿は、ハッシュタグのない投稿未満のリーチしか集まらないことを示してしまった!
ハッシュタグ付きの投稿は、ハッシュタグのない投稿よりも、平均のバイラルリーチは低くなっている。ハッシュタグを使用したブランドは、同じハッシュタグを使用したブランドから、追加の露出機会を得るはずなのですが。
ファンあたりのエンゲージでも、ハッシュタグ投稿は減少していた。
ハッシュタグを利用した際、オーガニックリーチも減少していました。ごく僅かな差ではありますが、エンゲージメントの損失と一致しています。
私達は、以下のデータを見て驚きました。私達は唯一、非常に大規模のブランドがハッシュタグを使用すると、先ほどのプロセスによって表示され、バイラルリーチが増加するという仮説を立てました。。私達が #EdgeRank のクリックで示したように、Mari Smith(100k以上のファン) & Facebook Studio(1M以上のファン)は、この2つの要素を備えた投稿でした。
もう一度言いますが、ハッシュタグはバイラルリーチを増やしません。私達は、ファン数をセグメント化し、データをさらに掘り下げました。エンゲージメントを調べると、ファン数に関係なく、ハッシュタグを使用したブランドのエンゲージメントに対し、プラスの影響を与えないことが示されました(標本分散に起因する可能性が高い1グループを除き)。
データの検証
この情報を公開する前に、あらゆる角度から、このデータを見つめ直したいと思いました。私達は結果を検証するために、いくつかの事項を調査しました:
- Twitterのハッシュタグはエンゲージメントを増加させるのか?
- バイラルサーチは月末に増加し始めるのか?
- 月で均等に使用したブランドはどうか?
- 投稿されたコンテンツタイプの分布はどうか?
Twitterのハッシュタグはどうか?
私達は一般的なTwitterに関する勉強や、データの収集を行っていますが、2つのネットワーク(TwitterとFacebook)を比較できる予備のデータを持っていません。今回、フォーチュン500の中から、50のTwitterアカウントを分析しました(対象とした全てのアカウントのうち、ハッシュタグが含まれていなかったリプライを含めていません)。
Twitterの場合、ハッシュタグを利用した場合、約2倍、ReTweet(RT)される可能性が高くなっています。ハッシュタグを利用したブランドは、使用しなかったブランドに比べて70%、RTが増加しています。
TwitterのハッシュタグはRT(Facebookにおけるバイラルリーチに相当)の可能性を増加させる傾向にあると思われます。
バイラルリーチは月末に増加し始めるのか?
人々のハッシュタグについての理解が深まった時点での調査を行いました。。7月最後の週では、ハッシュタグが実装されて1ヶ月が経過していました。バイラルリーチを再び積極的に使用されることによる影響はありませんでした。
月で均等にハッシュタグを使用したブランドはどうか?
7月に毎週ハッシュタグを使用した、あるいは全く使用していないブランドにフォーカスして調査を行いました。ここでは基準を満たしていない全てのページを除外しました。そのため、サンプルサイズは約100ページとなっています。
このデータはハッシュタグを使用しない方が、ハッシュタグを使用したものより、良い結果を残したことを示しています。繰り返しになりますが——ハッシュタグ付きの投稿が、バイラルリーチを増加させることはありません。
ブランドはプアなコンテンツタイプでハッシュタグを使用したのでは?
ブランドは多くの場合、写真と共にハッシュタグを使用しています。私達は、写真が最も高いパフォーマンスを出すことを知っています。ハッシュタグを使用した場合も使用しない場合も、コンテンツタイプの差に大きな違いはありませんでした。
ハッシュタグはなぜ成功しないのか?
私達の仮説では、多くの人々がハッシュタグをクリックしないからです。多くの人々がハッシュタグをクリックしていた場合、バイラルリーチの増加が見られるはずです。データはその事実を示していません。それどころか、バイラルリーチの減少を示しています。この結果から、ひとつの疑問が生じます。
なぜハッシュタグ付きの投稿はバイラルリーチが減少するのか?
私達はハッシュタグ投稿がバイラルリーチの増加に寄与しないと仮定しました。ハッシュタグの使用方法を検討したとき、プロモーションの要素として使用されるのではないかと至ります。いくつかのブランドに向けて、キャンペーン用のハッシュタグを提供し、キャンペーンに関連付けられている全ての投稿で、それを使用します。本来、プロモーションキャンペーンで使用されるものであり、(注釈:何もない普通の投稿で使用すると)エンゲージメント、クリックが低下し、最終的にリーチが減少するのではないでしょうか。
ハッシュタグファクト
- 単一の投稿で最も多くハッシュタグが使用された数は、19個だった。
- 60%はひとつのハッシュタグを私用しています。
今回使用したデータ
7月中にハッシュタグあり・なしの投稿を行った500ページを分析しました。これらのページは7月中に35000回以上の投稿を行っています。35000のうち、6000がハッシュタグを使用していました。各メトリックスでは、ページのパフォーマンスの平均を使用しました。また、ページパフォーマンスの中央値を用いています。ハッシュタグ付き投稿数は毎週8%以上の変動はありませんでした。相対性を維持するため、メトリックスは投稿の時間ごとに分けられています。
この記事はEdgeRank Checkerの『Hashtags on Facebook Do Nothing To Help Additional Exposure』を翻訳したものです。
まとめ
基本的に、ハッシュタグを使うことは、あまり推奨されないようです。私やEdgeRank Checkerの考えは、的外れであったようです。申し訳ありません。
さて、こちらの記事でも触れましたが、ハッシュタグへの投稿を見る手段は、大きく分けて2つです。1つはハッシュタグをクリックすること。もうひとつは、ハッシュタグを検索することです。1, 2の要素について、少し検討してみたいと思います。
1. ハッシュタグをクリック
EdgeRank Checkerの記事でも書かれているように、人々はハッシュタグをクリックしていないと思われます。TechcrunchはFacebookのトレンディング・トピックスに関する記事で、以下のように述べています。
Facebookにおける〈公開対プライベート〉の力学は、Twitter(ハッシュタグやトレンディング・トピックスが既に定着している)とは大きく異なるため、Facebookはこのアプローチがプライベート性の強いモデルにどう働くかを慎重にテストしているのだろう。
Facebook、トレンディング・トピックスをデスクトップでも試行中(Techcrunch)
この言葉からも想像できる通り、FacebookとTwitterのパブリックは、少し意味合いが違います。Facebookは自分の知人や、好みのブランドがどのようにしているかを知る場所という感じが強く、ハッシュタグのような全体が繋がれるアプローチについて、あまり興味を示さないように思います(あくまで私見です)。一方でTwitterは、相手との関係を気にせず繋がることが出来る場所であり、その結果ハッシュタグでのやり取りが頻繁に行われるのではないでしょうか。実際、今回の調査結果でも、Twitterはハッシュタグを利用した方がバイラルリーチが高まる傾向にあることが分かっています。
2. ハッシュタグの検索を行う
以前の記事では、グラフサーチが導入され、Facebookの検索機能が十全になったらハッシュタグは効果を発揮すると書きました。しかし、グラフサーチが全体ではないにせよ、今回の調査は広範囲で利用可能になっている北米を対象(EdgeRank Checkerの利用者が多い国)です。つまり、日本でも同じことが起きる可能性が非常に高いと考えられます。
ハッシュタグの検索が行われない理由は、自分の身の回りで起きていることではないからではないでしょうか。1. のTwitterとの違いと、非常に似たところにあるかと思います。
今後の展開次第ですが
ハッシュタグを使用するとリーチやエンゲージメントが低下する。このデータが本当であれば、ハッシュタグを使用するページも減少してしまいます。Facebookは今後どのような展開を考えているかはFacebookのみ知るところですが、ハッシュタグをクリックさせる何らかの方法を考える必要がありますね。
トレンディング・トピックスが、その第一手となるのでしょうか? ただ、この点についてはFacebookが今まで築いてきたコミュニケーションを根本から変えることにもなりかねませんので、Techcruchの指摘通り、慎重に検討を重ねているところでしょう。
いずれにしても、現状のままハッシュタグが運用されるのであれば、特別な理由がない限り使用は控えた方が賢明なのかもしれません。私もハッシュタグについて継続的にウォッチしていきますので、何か変化があればお伝えいたします。