コンテンツは、闇雲に作っても効果を発揮しません。無秩序に作ったコンテンツがトラフィックを生むことはあっても、見込み顧客や、顧客を得ることは出来ないでしょう。ビジネスとコンテンツを直結するためには、戦略が必要なのです。
こちらのSlideShareは図書館ウェブサイト向けのコンテンツ戦略ではありますが、非常に分かりやすかったので、まとめてみました。
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コンテンツ戦略の課題
コンテンツ戦略を立案する上で、まずは現状の問題を洗い出す必要があります。問題の原因が分からず、今後の戦略を練ったり実行することが難しいからです。例えばスライドでは、次のようなことが課題にあげられています。
- 作成し、公開されたコンテンツが、どこで公開されているか分からなくなっている
- HPの更新担当者がいない(もしくは、全員がそうである)
- モバイルからアクセスできない
- コンテンツの公開はPDFで行っており、タイトルは“4002.pdf”のように無機質
- ウェブサイトは組織構造の説明を行っており、ユーザーやコンテンツは二の次である
- “Instagramをやらなければならない”と思っている
この状況下では何を作ればよいのか、ということは決められません。そもそも、ウェブサイトの構築から始めなくてはなりませんし、ユーザーがどのようなことをウェブサイトに望んでいるかのリサーチを行う必要もあるでしょう。コンテンツ戦略とは、ユーザーにとって有益なものを作り出すことで、顧客となってもらうのです。この戦略を理解せず、課題を抱えたままコンテンツを作っていても、大きな効果は見込めません。
それどころか、下記のような問題を引き起こす可能性すら考えられます。
- オーディエンスの混乱
- カスタマーエンゲージの欠如
- CSコストの上昇
- クロスセリング機会の損失
- 提供しているものの認知と需要の不足
コンテンツ戦略の立案する上で重要なこと
上記の問題を踏まえた上で、コンテンツ戦略を立案します。このとき、明確にすべきなのは、いわゆる5W1Hです。
- WHO
全ての戦略は、“誰か”に向けて作られている必要があります。“誰が”コンテンツの戦略に関わっており、“誰が”恩恵を受けるのかを明確にしましょう。 - WHAT
“何が”戦略に関与しているのか、ということです。時間やコスト、リソースなど、多くのものが必要となります。戦略を実行するのに、必要なものを見出しましょう。 - WHEN
戦略を実行に移す“期限”を指します。いつでも行える、と思っていると、中々計画は実行に移せません。今まで行っていたことから刷新するとなればなおさらです。 - WHERE
プロセスやディベロップメントのディレクションを意味します。戦略を行ったときに、最もリターンが大きい“場所”を考えることも、この中に含まれています。 - WHY
あなたが行おうとしていることの意味を明らかにしましょう。これを行うと、どういう効果が上がるか。逆にこれをしない理由は何か。明確な理由がなくては、コンテンツ戦略を実行する意味が薄くなります。 - HOW
どのようなメソッドで行うか、を決めます。作成した戦略を、どのように実装するかの筋道を立てておきましょう。
そして、5W1Hのあとには、コンテンツが戦略的にビジネス(+ユーザーとのコミュニケーション)に繋がっているか、しっかりと考えましょう。
作成すべきコンテンツとウェブサイトの改装に必要なこと
作成するコンテンツは、3つの指標に沿ったものでなくてはなりません。
- ユーザーと、コンテキストを理解していなければならない
- ミッション・目的・ブランド、全てを支援している
- サービス利用を助け、ユーザーにとって有益か
この3つを完成させるためには、技術的、編集的、ウェブ戦略的な問題をクリアする必要があります。例えば、サイト自体がユーザーにとって不便なものであればすぐに離脱されてしまい、コンテンツの編集を行う人がいなければ掲載するものがなく、戦略がなければ作成するウェブサイトもコンテンツも未完成のまま終了してしまいます。
(http://www.richardingram.co.uk/より)
つまり、これらを解決する人材を束ねなければなりません。全体で明確な目標を共有しなければ、実現が難しくなります。コンテンツ戦略を立案・実行する人は、以下のようなベン図に必要な要素を書いていくなど、誰の目にも明らかなものを作成するとよいでしょう。
(スライドから引用)
コンテンツはどうすべきか
必要なコンテンツは何か
ウェブサイトの改装を行いながら、公開すべきコンテンツを精査しましょう。しかし、コンテンツといってもパッとは思いつかないかもしれません。スライドの図書館では、以下のような例があげられます。
- 書評
- イベントアナウンス
- 情報伝達(新刊の入荷など)
- 地図
- etc
図書館のコンテンツ戦略のゴールは、いかにして図書館に足を運んでもらうか、ebookを利用してもらうかにあります。そのためには図書館で行われている行事や、どのような本があるかを知ってもらう必要があるため、こうしたコンテンツが役に立つわけです。
コンテンツを作成する上で決めるべきことは何か
コンテンツ管理
例えば図書館のように規模が大きいところであれば、役割ごとに人を分担することがあるでしょう。他にも、公開したコンテンツをソーシャルメディアに公開したり、そもそも本当にそれを公開してもよいのかと判断する人も必要となります。
最低でも、以下の役割は決めておきましょう。
- 役割と責任
- 公開前にチェックを誰が行うか
- 誰が何か書くか
- ソーシャルメディアに投稿する人は誰か
エディトリアルカレンダー
いつ、どこで、誰が、何を行うかのカレンダーを作成しましょう。役割が決まっていれば、それほど時間はかからないはずです。例えば、こんな感じに。
- ウェブサイトコンテンツ
- キャンペーン
- メルマガ
対象とするユーザーを分析する
図書館利用者と一口で言っても、層は様々です。簡単に分類したとしても、以下のようにいくつかピックアップできます。
- 児童
- ティーン
- 大学生
- 親
- 教員
- 独身
- 社会人
- 高齢者
そして、その人々が入っているコミュニティもあげましょう。こうすることで、必要となるコンテンツが分かりやすくなります。例えば、教員-学校の人に来てもらいたい場合は、教育論に関するコンテンツが必要となるでしょう。
- メディア
- ボランティア
- 学校
- ローカルビジネス
- 読書会
コンテンツの審査
新しい戦略を採用したとしても、既存のコンテンツを全て消す必要はありません。ただし、そのコンテンツが戦略にあったものかどうか、審査するべきでしょう。
- そのまま残す
今の戦略に則っており、そのまま残しても十分にユーザーから活用されるもの - 削除
戦略上必要なく、残しておくとユーザーに混乱させる可能性があるもの - 書き直し
内容は良いが、コンテンツをもっと上手く見せる必要があるものは書き直す
ライティング
オンラインのコンテンツは、全てを読む人は少数で、多数は流し読みであることを認識して、ライティングを行う必要があります。流し読みしながらでも把握しやすいよう心掛けるか、こちらは難しいですが惹き込めるものを書きましょう。
スライドでは、短いものがベターである、と書かれています。これは流し読みしたとき、飽きる前に終わるための策でしょう。ただし、検索エンジンからの流入を考えるのであれば、長い方がよいと言われています(もちろん、ユーザーにとって有益であることが大前提です)。バランスを考えて行いましょう。
他にも、読みやすく、最後まで読んでもらえる書き方のヒントが添えられています。
- 口語で書く
- 専門語は避ける
- 最初で要点を述べる
- 長文は小見出しを付けたり箇条書きにする
- 小見出しをユーザーの持つ疑問にする
テクニックを駆使したとしても、最後まで読んでくれたユーザーは、コンテンツに興味を持ってくれています。何かしらの行動喚起(call to action)を行いましょう。例えば、他のページを読んでもらえるよう呼びかけるという軽いものや、メルマガの登録を行ってもらうのも良いでしょう。
コンテンツのライフサイクル
コンテンツは、作成して公開はい終わり、では済みません。作成したものをレビューし、他者からの意見をもらって修正、その後に公開します。そして、その公開したものをソーシャルメディアアカウントでプロモーションし、人々に見てもらった後から反応を基に見直しを行います。
(スライドから引用)
“こういうコンテンツは反応がいい”というノウハウを貯めるまでは手探りになるかもしれませんが、必ず公開した後にどういう反応があったかは確認しましょう。
そして、そこであった気付きをコンテンツ戦略に反映させることで、完璧なものへと近付いていきます。
Content Strategy for library websites
参考にしたSlideShareを見ると、実際の図書館が行っているコンテンツ戦略が詳細に書かれています。ぜひご一読ください。
(Photo: Dia 100: Frases vienen y van by Angel Acrones)