Facebookの広告に足りなかったものは何だろう? その答えのひとつが、行動を喚起するボタン(Call To Action Button: CTAボタン)です。行って欲しい動作を示したボタンを設置することで、ユーザーのCTRは上昇するのはよくあることです。このボタン自体はFacebookが設置できるようにしなければならなかったので、ユーザー側では対応できないものでした。
しかし、それも過去のことと、水に流せるようになります。数週間以内にモバイルアプリインストール広告にCTAボタンが追加できるようになると、Facebook developersのブログで公開されました。
より高いエンゲージメントとコンバージョンを
これまで、Facebookのモバイルアプリインストール広告でインストールされたアプリは、iOSとAndroidを合わせて1億4500万個以上にのぼることが明らかにされました。しかし、パートナーであるLocalyticsが分析を行ったところ、66%のアプリは起動回数が10回にも満たないことが分かっています。つまり、モバイルアプリインストール広告は発見してもらうという点をクリアしたものの、その後の収益化に結びつき辛い状況にありました。
今回、インストールしているユーザーを対象にCTAボタンを出せるようになったことで、その後にリピートして使ってもらえるよう、促すことが可能になります。
ブログでは、ホテルの予約アプリを提供するHotelTonightを例に解説しています。このアプリは、週末、急にホテルに泊まらなければならなくなったとき、宿泊を受け付けているホテルを探すためのアプリです。週末にこのアプリのCTAボタン『Book Now(予約する)』を広告に表示することで、アプリを起動し、予約画面に遷移するようになっています。
具体的な仕組みは、以下のように書かれています。
モバイルアプリ広告は、あなたのアプリをインストールした後でも、ユーザーに対して表示できるようになりました。ユーザーに向けてカスタマイズすることで、ユーザーのロケーションに合わせたセールスやプロモーション、ホテルのリストや新しいアルバムの表示を、モバイルアプリ広告からディープリンクで可能になります。
実際の動作は、こちらの動画をご覧下さい。
表示できるボタンは次の7つとのこと。
- Open Link(リンクを開く)
- Use App(アプリを使う)
- Shop Now(購入する)
- Watch Video(動画を観る)
- Listen Now(視聴する)
- Book Now(予約する)
- Play Game(ゲームを始める)
具体的に4つの事例が示されています。
- 購入する – 24時間限定のセールやプロモーションに参加してもらう
- ゲームを始める – 最新のステージをプレイしてもらう
- 視聴する – 新規のプレイリストを聴いてもらう
- 予約する – 休暇に向けた低価格なプランのプロモーションを行う
まとめ
現在のスマートフォンアプリのトレンドは、いわゆる“アイテム課金”であることは言うまでもないでしょう。インストールされた後に購入を行うなり、ゲーム内のアイテムの購入を行うなりしないといけませんが、アプリを開く回数が10回未満では、難しい状態にあると言えます。特に継続的に利用してもらわないといけないゲームであればなおさらのことでしょう。
インストールしたユーザーに対して、アプリ上でどういうキャンペーンを行っているかを知らせ、CTAボタンから、その画面に遷移できるようにすることで、興味を持ったユーザーのアクションが期待できます。
ひとつ気になるのは、前回告知されたニュースフィード広告にユーザーからのフィードバックを反映させるアルゴリズムアップデートもここに絡んでいるのでは、ということ。このアップデート内容を簡単に説明すると、ユーザーが非表示にしたジャンルの広告は、別企業のものであっても表示されにくくなる、というものです。もし、これが適用されるとすれば、表示されるユーザーが最適化されるわけですから、コンバージョン率の向上に貢献するかもしれません。
実際の売上に結びつき難かったり、ROIの測定が難しいと言われているFacebook広告ですが、モバイルアプリ広告に関しては、具体的なアクションが追加されて、売上やROI測定が容易になると言えるでしょう。
また、Facebookも投稿内で触れていますが、インストール時だけではなく、その後も継続して関係を持つことができ、顧客生涯価値(Life time value: LTV)の向上を目指せる、有益な広告となるかもしれません。いつも通り“数週間”のうちに全世界で利用できるようになるとのことなので、モバイルアプリ広告を提供している方は、ぜひご検討ください。
(Photo: Personal Notes on Call to Action Buttons: Examples and Best Practices by Jacob Gube)