NFCについてのまとめ

NFCについてのまとめ。ほぼメモです。

NFCはNearFieldCommunicationの略で日本では近距離無線通信と訳します。NFCは広義と狭義に分けて話されることが多いのですが、広義のNFCとしては関連技術まで含んでいることが多く、国際標準のNFC(ISO/IEC18092、ISO/IEC21481)を推進・普及するために立ち上げられたNFCForumでは通信規格だけでなく、データフォーマットやアプリケーションについてまで議論されています。

http://www.atelier-nodoka.net/wp-content/dojin/sample/07.pdfより

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%BF%91%E8%B7%9D%E9%9B%A2%E7%84%A1%E7%B7%9A%E9%80%9A%E4%BF%A1

NFCについて

近距離無線通信(きんきょりむせんつうしん)は、広義には到達距離の短い無線通信を指す。

狭義には近接場型の無線通信(Nearfieldcommunication)を指す言葉・訳語として用いられる。通信エリアは、およそ1メートル〜数センチ程度の極短距離である。「非接触通信」とも呼ばれる。FeliCa、ISO/IEC14443(MIFARE)、ISO/IEC18092などがある。

ISO/IEC14443

13.56MHzの周波数を利用して通信を行う近接型RFIDの国際標準規格。TypeA、TypeBの2種類存在。

TypeA

衝突防止方式(アンチ・コリジョン):ビット・コリジョン、タイム・スロット
MIFARE。オランダのNXPセミコンダクターズ(フィリップス)が主に開発している。世界で最も多く使われている非接触ICカード通信規格である。日本でもかつてNTTのICテレホンカードに採用されていた。また、タバコ購入用成人認証カードtaspoにも採用され、交通分野では福島県の福島交通がバスICカードに採用されている。マスターカードの非接触カード決済方式のPayPassもこの方式である。

TypeB

衝突防止方式(アンチ・コリジョン):スロット・マーカー
モトローラが開発を主導。日本では住民基本台帳カード、自動車運転免許証、パスポートに採用されている。

TypeC.

ソニーが開発を主導しているFeliCaはTypeC.としてISO14443への規格化をめざしていたが、審議が時間切れで打ち切られ規格化されなかった[1]。FeliCaは2003年にISO18092として規格化された。

ISO/IEC18092

NFC(NearFieldCommunication)として知られる無線通信の国際規格である。NFCは、十数センチの距離での小電力無線通信技術である。2003年12月に規格化された。NFCIP-1(InterfaceProtocol-1)。
ソニー(FeliCaを推進)とNXPセミコンダクターズ(MIFAREを推進、旧フィリップス)の共同開発によって、FeliCaやISO/IEC14443(MIFARE)のような既に普及しているICカード非接触無線通信技術との下位互換性を維持している。使用周波数はMIFAREなどと同じ13.56MHzである。
それまでJIS規格にすぎなかったFelicaはこのISO/IEC18092によってはじめて国際標準として認められた。本来であればISO/IEC14443TypeCとして認められるはずであったが、サムスン電子がMIFAREと使用周波数・暗号方式の異なる市場未投入の複数の規格案をTypeD~TypeHとして提案し、すべてを国際標準として認めるよう要求したため、「規格の乱立を招くことは標準制定の主旨に反する」として標準化作業自体が頓挫したためである。

ISO/IEC15693

ISO/IEC14443と同様に、13.56MHzの周波数を利用して通信を行うRFIDの国際標準規格。ISO/IEC14443に比べると、若干通信可能距離が広く(10cm以下)バーコードの代わりのICタグとして小売などで普及。

ISO/IEC21481(NFCIP-2)

2005年1月には、拡張規格であるNFCIP-2がISO/IEC21481として国際標準規格に制定され、ISO/IEC14443(TypeB)とISO/IEC15693にも対応した。

NFCBluetoothHandover

NFCForumとBluetoothSIGにてBluetoothのペアリングをNFCを用いて行うBTSSP(BluetoothSecureSimplePairingUsingNFC)という標準仕様や、Bluetoothに接続を切り替えるNFCConnectionHandoverの仕様を策定している。
Android4.1よりデータ転送にNFCおよびBluetooth、無線LANを併用した、AndroidBeamが搭載されている。

各機構について

ISOについて

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E6%A8%99%E6%BA%96%E5%8C%96%E6%A9%9F%E6%A7%8B

国際標準化機構(こくさいひょうじゅんかきこう、InternationalOrganizationforStandardization、略称:ISO(イソ、アイソ))は、電気分野を除く工業分野の国際的な標準である国際規格を策定するための民間の非政府組織。本部はスイスのジュネーヴ。スイス民法による非営利法人。公用語はフランス語、英語、ロシア語。各国1機関が参加できる。

国際標準化機構が出版した国際規格(IS)も、一般にはISOと呼ぶ。

概要

国際標準化機構という名称を略称で表そうとしたとき、言語によって異なる略称になってしまう(英語ではIOS、フランス語ではOINなど)。そこでギリシア語のイソス(isos均等、均質)にちなみ、言語や地域によらない短縮名としてISOが選ばれた。日本では、ここで言う短縮名と「かしら文字語(acronym)」を混同して、アイソ、アイエスオーと読むのが正しいという見解が広まっている。

国際標準化機構で策定された国際規格(IS;InternationalStandard)は、“ISONNNNN-P:YYYY”という形式で識別する。“NNNNN”は5けた以内の規格番号である。複数の部(part)からなる規格は、部番号“-P”をもち、省略すると複数の部全体を表す。“:YYYY”は制定年または改定年であり、改定年を問題にしないときは省略してもよい。IECと共同で策定した情報工学分野の規格は、“ISO/IECNNNNN-P:YYYY”という形式で表す。IS規格ではない場合、一般仕様書(PAS)、技術仕様書(TS)、技術報告書(TR)などの略称が付けられる。

沿革

1947年活動停止状態にあった万国規格統一協会(ISA)を発展させ、2月に設立。

1952年日本から日本工業標準調査会(JISC)が加盟。

技術委員会と担当規格

ISOは主要な産業分野の標準化を、「技術委員会(TechnicalCommittee、日本工業標準調査会では「専門委員会」の訳を用いている。)」の下で行う。TCは”TC1″(ネジ)や”TC2″(ボルト・ナット類)から”TC229″(ナノテクノロジー)まであり(一部は廃止・休止中)、さらに”TC230″から”TC243″(一般消費者向け製品の安全性)まではプロジェクト委員会(ProjectCommittee)という形態をとっている。プロジェクト委員会は特殊分野において、1つか2つの規格しか発行せず、規格作成が終了したらすぐに解散する。その設立にはISOにおけるTC設立の投票が不要である。

これらの技術委員会のうち、”TC97″(情報分野)については、国際電気標準会議(IEC)と標準化の範囲が重複するので、標準化活動をIECと合同で行うこととし、1987年に改組されてISO/IECJTC1となった。情報技術の発展と共にJTC1の組織は肥大化し、現在は全ISO規格の1割近くを担うまでに至っている(JTC1の活動と規格については別途参照)。

JTC1が担当する規格の多くは、”ISO/IEC”で始まる規格番号をもつ(ただしISO9660のように、JTC1が設立して以来、改正されていない規格は除く)。

また、電気分野の標準化はISOでは行わず、専ら国際電気標準会議(IEC)によって策定される。以下に技術委員会の一覧と、各委員会が作成した著名な規格を示す。(JTC1の規格については専用項目を参照)

http://www.iso.org/iso/home.html

IECについて

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E9%9B%BB%E6%B0%97%E6%A8%99%E6%BA%96%E4%BC%9A%E8%AD%B0

国際電気標準会議(こくさいでんきひょうじゅんかいぎ、InternationalElectrotechnicalCommission、IEC)は、電気工学、電子工学、および関連した技術を扱う国際的な標準化団体である。その標準の一部は国際標準化機構(ISO)と共同で開発されている。

IEC創立総会は1906年6月26日に開催された。そのきっかけとなったのは、1900年に開始されたパリ国際電気大会議(ParisInternationalElectricalCongress)である。その後、英国電気学会(IEE)と米国電気電子学会(IEEE,当時は米国電気学会)などが中心となって話し合いが続いていた。この流れの中心的役割を果たしたのがE.R.B.クロンプトン大佐である。現在では130ヶ国以上が参加している。このうち65カ国が正式会員で、他の69カ国はAffiliateCountryProgramme(加盟国プログラム)と呼ばれ、正会員ではないがIECに参加して自国の工業化推進の補助となるよう考えられている。当初はロンドンに本部があったが、1948年にジュネーヴに移転した。
IEC憲章で規定された標準化範囲は、あらゆる電気/電子工学技術に及ぶ。具体的には、発電と送電、エレクトロニクス、磁気学と電磁気学、電気音響学、マルチメディア、遠隔通信である。また、これらに関連する分野として、用語と記号、電磁気的互換性、測定と性能、信頼性、設計と開発、安全性と環境への配慮などが対象となる。

今日のIECは、各国の標準化団体が策定した標準を国際標準として採用し、参加国がそれを第一参照ポイントとして利用するという傾向がある。例えば、IEC268-10(1978)はProgrammeLevelMetersの国際標準規格とされているが(具体的にはオーディオのレベルメータのスケール(目盛)に関する規格)、その内容はイギリスの標準化団体がBS4297-1968として標準化したものであり、さらに言えばBBCの研究部門が行った仕事が元になっている。

IECは、特にガウス、ヘルツ、ウェーバといった測定の単位規格を開発し広めるのに貢献している。IECは当初ジョヴァンニ・ジョルジの提案した単位体系を提案したが、最終的に国際単位系として標準化された。

1938年、電気の専門用語を統合するためにIECは多言語の国際的な語彙集を出版した。この努力は続いていて、IECのInternationalElectrotechnicalVocabulary(国際電気標準用語集)は電気/電子系産業にとって重要な仕事である。

IEC標準規格には60000〜79999の範囲の番号が付与され、その後にタイトルが置かれる。例えばIEC60417:GraphicalSymbolsforuseonEquipmentといった形式である。古いIEC標準規格の番号は1997年に60000を加算することで全部その範囲に移動された。したがって、従来IEC27だった規格は、現在ではIEC60027となっている。

ISOと共同で策定された標準規格は、ISO側の番号を付与する。例えばISO/IEC7498-1:1994OpenSystemsInterconnection:BasicReferenceModelのようになる。このような番号の標準規格は、(基本的に)情報工学分野のISO/IECJointTechnicalCommittee1(合同技術委員会)だけが策定する。

http://www.iec.ch/

JISについて

JISについても同様にウィキペディア先生に確認

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%B7%A5%E6%A5%AD%E8%A6%8F%E6%A0%BC

日本工業規格(にほんこうぎょうきかく、JapaneseIndustrialStandards)は、工業標準化法に基づき、日本工業標準調査会の答申を受けて、主務大臣が制定する工業標準であり、日本の国家標準の一つである。JIS(ジス)またはJIS規格(ジスきかく)と通称されている。JISのSは英語standardの頭文字であって規格を意味するので、「JIS規格」という表現は冗長であり、これを誤りとする人もある。ただし、この表現は、日本工業標準調査会、日本規格協会およびNHKのサイトでも一部用いられている。

http://www.jsa.or.jp/top.asp

RFIDの歴史

こちらも

http://www.atelier-nodoka.net/wp-content/dojin/sample/07.pdfより

RFIDは、RadioFrequencyIDentificationの略で、無線通信で個体識別することを表します。そもそも、RFIDは次世代バーコードと呼ばれることがあるようにバーコードの後継技術として捉えられていました。

1972年、スイスのスーパーマーケットでPOS(PointofSales)システムが導入されました。このシステムで使われたのがバーコードです。バーコードは1973年にアメリカでUPC(UniversalProductCode)として、1977年にヨーロッパでEAN(EuropeanArticleNumber)として規格化されました。ちなみに日本では1978年にJANコードとして規格が制定されています。

その後、ITシステムの普及とともに管理する情報量が飛躍的に増加し、商品に含めるデータを増やすためにもバーコードを拡張する必要が出てきました。そのうちの一つの施策がRFIDだったのです。

RFID技術そのものは第二次世界大戦において既に利用されていたといいます。具体的には1948年、イギリスは自国の飛行機と敵のそれを区別するために初めてRFIDを用いたとされています。

その後、1978年には牛にRFIDを埋め込む実験がシカゴ大学で行われ、体温など牛の健康管理に用いられました。その他の例では車の盗難防止を目的としたイモビライザがあります。これはRFIDチップを埋め込んだ鍵を車の方のリーダで認識し、あらかじめ登録されたIDと一致したときのみエンジンをかけるというものです。また、RKE(RemoteKeylessEntry)と呼ばれる遠くから車のドアを開けたり、エンジンをかけたりする仕組みもRFIDが用いられています。

RFIDの原型は図書館やCDショップの盗難防止用に用いられているEAS(ElectronicArticleSurveillance)ですが、初期のEASはIDを持っていないため厳密にいうとRFIDではありません。当初はタグがあるかないかだけを判断していたようです。これが発展してIDが付与され、書き込み機能が付加されたものがパッシブRFIDタグです。パッシブRFIDタグはその名の通り、タグ自身に電源を持っていません。電源や搬送波の源振などはリーダから供給されます。

主な給電方法は電磁誘導方式と電波反射方式の2種類です。

電磁誘導方式は13.56MHz以下の低周波帯で使われ、電波反射方式はそれより高い周波数帯で使われます。ちなみにNFC技術では13.56MHz帯の周波数帯域を使用しています。

反面、パッシブRFIDタグはタグ側にも電池を搭載したもので、パッシブRFIDタグより通信距離を長くできます。通信に関して、パッシブタグでは、電源と搬送波の源振がリーダから供給されるために双方向の通信が必須ですが、アクティブタグではそれらをタグ自身に持っているため必ずしも双方向通信である必要はありません。

RFID技術を使った非接触ICカード

FeliCaやMIFAREなどの非接触ICカードも技術原理的にはRFIDと同じです。しかし、他のRFID技術が主に家畜や物流などのモノに使われるのに対して非接触ICカードはヒトの識別に使用されるために国際標準内でRFIDタグとは別のサブコミッティ(ISO/IECJTC1/SC17:カードと個人識別に関する標準化)で審議されています。
非接触ICカードはその交信距離により、以下のように分類されています。

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この中で、FeliCaやMIFAREなど一般的な非接触ICカードの範疇となるのは主にISO/IEC14443の近接型の規格です。実はFeliCaもTypeCとしてISO/IEC14443の規格化を目指していましたが、審議の時間切れで実現することはありませんでした。それが2000年ごろの話です。

モバイルを視野に入れたNFCとNFCForum

ISO/IEC14443のカード仕様では、RF回路とアナログ回路、デジタル・プロトコルやアプリケーションのファイル・アクセスの一部までを盛り込み、全体を包括する仕様になっていました。しかし、このような包括的なカード仕様ではなく通信部分だけを切り出して規格にすれば、モバイルに搭載できるなどのもっと面白い応用ができるのではないかと考えられました。そこから生まれたのがNFCの規格、ISO/IEC18092(NFCIP-1)です。そのような背景があるためISO/IEC18092は、非接触ICカードのISO/IECJTC1/SC17ではなく、通信とシステム間の情報交換の標準化を担当するISO/IECJTC1/SC6で検討されました。

なお、NFCIP-1の規格はMIFAREことISO/IEC14443TypeAとFeliCaのインタフェースがベースとなっています。RFIDが無線通信による個体識別で、NFCが近距離無線通信ならば、両者は概念としてよく似ています。しかし、RFIDでは数m単位で通信できるものもある一方でNFCはかざすことで読める程度の電力しか使わないように決められています。また、RFIDはもともと物流用に使われていたこともあって、そのリーダ/ライタは高価でシステムの導入費用もかかります。しかし、NFCでは、そのような専用システムがなくとも、モバイル端末で書き換え可能になります。ざっくり区別すると、RFIDは産業用で、NFCは民生用となります。

NFCはかなり上位の概念であるため実装規格がないと各社がバラバラの実装をしてしまい、互換性のない機器やカードができてしまいます。そこでNFCIP-1が制定された翌年2004年に、NFC規格の細部を決定すべく、フィリップス(現NXP)やノキア、ソニーが共同してNFCForumを立ち上げました。

なぜ今NFCなのか

NFCForumでは、NFCの規格を何に使うのか、ユーザ・メリットは何かということから議論され始めました。そうして初めに決まったのが後述するNFCの三つのモードです。議論の中で重要とされたのが既存の非接触ICカードとの互換性です。NFCの実装規格は既存のカードでも動くようなものにする必要があったのです。それゆえか、基本方針を決めてから具体的な規格に落とし込むのに6~7年の年月を要し、2010年の後半になってようやく第1世代の実装規格が決まりました。そして、2011年ころからチップ・メーカーからNFC実装規格に沿った半導体が登場し始めたのです。これが昨今、NFCが注目を集めている理由です。

NFCの三つのモード

前述したNFCForumで最初に決められたのが以下に示すNFCの三つのモードです。

  • カード・エミュレーションモード
  • P2Pモード
  • リーダ/ライタモード

カード・エミュレーションモードは、NFCデバイスでSuicaやPASMOなどのNFCカード機能を実現するモードです。本機能は、必須ではなくオプションとなっていますが、選択する場合は、Type3TagかType4Tagの仕様に基づくTagPlatform仕様に準拠する必要があります。

P2Pモードは、2台のNFCデバイス同士間で双方向のデータ通信を行う機能です。NFCIP-1のDEPを用いて行うことからNFC-DEPと呼称しています。NFCForumの規定では、NFCIP-1の3種類のビットレート(106/212/424kbps)のうち、イニシエータ・デバイスはいずれか1種類が、ターゲット・デバイスは全てのサポートが必須とされています。

リーダ/ライタモードは、NFCデバイスをリーダ/ライタとして使用し、既存の非接触ICカードを想定した4種類のNFCForumTagに対するアクセス機能をサポートします。

NFCの展望

2012年初頭現在、NFCフォーラムでは、ハンドオーバ技術の標準化の検討を始めているといいます。ハンドオーバ技術とは通信経路をNFCからBluetoothやWi-Fiに切り替えるための技術のことを言います。NFCの操作は直感的ですが、その通信速度は106Kbps~424Kbpsと比較的低速です。そこで高速な通信手段にハンドオーバすることで、大きなデータを送れるようになるのです。その際、利用者はタッチするだけで良く、BluetoothやWi-Fiの面倒な初期設定が不要となります。

NFCカードの規格

NFCという用語はISO規格(ISO/IEC18092:NFCIP-1、ISO/IEC21481:NFCIP-2)に由来しています。NFCIP-1では、前述の非接触ICカードのインタフェース・プロトコルのうちMIFARE(TypeA)とFeliCaのインタフェースをベースとしており、既存の非接触ICカードとの相互接続性を維持しつつ、機器間の双方向通信を可能とする機能を拡張しています。
ここでは非接触ICカード(NFCカード)の具体的な仕様を見てみましょう。(個人)開発者が容易に利用できるNFCカードとしては、主にFeliCaLiteとMIFAREUltralightがあります。これらはそれぞれFeliCaシリーズとMIFAREシリーズの廉価版にあたるもので、どちらのカードも数百円あれば入手することができます。

NFCカードの基本動作原理

NFCカードの通信は、下記の流れで行われます。

  1. リーダ/ライタのアンテナを使って微弱電波を発生させる。
  2. カードのアンテナを介し、発生した微弱電波から電磁誘導によって電力を取得し、取得電力が規定値を上回った時点でカード内のICチップを起動させる。
  3. リーダ/ライタは微弱電波に変調をかけて、カードにリクエストデータを送信する。
  4. リーダ/ライタからのデータを受信したカードは、リクエスト・データを処理し、カードIC内の負荷を切り替えることによってリーダ/ライタにレスポンス・データを返信する。
  5. リーダ/ライタはカードIC内の負荷変動を、リーダ/ライタのアンテナの負荷変動として検出し、レスポンス・データを受信する。

世界で広く普及し利用されているNFCカードとしては、TypeA方式、TypeB方式、FeliCa方式の3種類があります。これらは13.56MHzの搬送波を用いているところで共通ですが、それぞれ符号化方式や変調方式、アンチ・コリジョン(衝突防止)方式などが違います。

[tableid=6/]

MIFAREUltralightの概要

MIFAREUltralight(MF0ICU1)の大まかな特徴を以下に示します。

  • 7バイトのシリアル番号
  • 発行処理速度は35ミリ秒以下
  • 高速計算処理は10ミリ秒以下
  • EEPROMは512ビット
  • 4バイトひとまとめページ単位で扱われる(つまり、全部で16ページ)
  • ページ毎にリードオンリーの指定可能
  • EEPROMのうち32ビットはOTPエリア(一度のみ書き込めるエリア)として確保
  • ユーザー領域は全部で384ビット(12ページ)
  • データ保持期限は5年間
  • 書き込み耐久回数は10000回

FeliCaLiteの主な仕様

FeliCaLiteの主な仕様は以下の通りです。

  • FeliCaLiteのIDmは8バイトのユニーク値
  • 対応コマンド:Polling、ReadWithoutEncryption、WriteWithoutEncryption
  • アンチ・ブロークン・トランザクション(アンチ・ティアリング)対応
  • ファイルフォーマット固定
  • 各ユーザーブロックを独立に読み出し専用または読み出し・書き込み可能に設定可能
  • 読み出すブロックデータにMACを付加して改ざんの検知が可能
  • 通信路暗号化は非対応

FeliCaLiteのファイルシステム

FeliCaLiteのファイルシステムには、サービスと呼ばれる基本概念が導入されています。ユーザーは、リード/ライトアクセス用とリードオンリーアクセス用の2つのサービスを用いてブロックにアクセスします。ファイルシステムでは、不揮発性メモリ領域を16バイトの最小記録単位で管理しています。これをブロックとよびます。ユーザーのデータはすべてブロックに格納されます。ただし、ユーザーからのアクセス単位もブロックとなるため、16バイトを超えるデータを格納するには、複数のブロックに分割して格納する必要があります。

NFCFourmより

以下NFCFourmのデータより

http://www.nfc-forum.org/resources/white_papers/japanese_nfc_in_the_real_world_II.pdf

現代社会における短距離無線通信

NFCにおける将来的な展望を有益な日常的アプリケーションへ

1.はじめに

現在、短距離無線通信(NFC)について国際標準規格が合意および公開され、市場はあらゆる種類のアプリケーションへこの技術を広く導入することを予定しています。

InnovisionはNFC用アプリケーションの3つの重要分野を予定しています。1つは、新たなサービスを開始する分野、ここでNFCは他のサービスを「実現可能」するために使用されます(データ転送のため他の通信リンクを開くなど)。もう1つはピアツーピアでの分野、ここではNFCは2つの装置間の通信を可能にするために使用されます。そして3つめは支払い&発券での分野、ここではNFCは新興の高性能な発券および電子支払構造基盤を基礎とします。

NFCの最初の大衆市場向けアプリケーションは、現存する通信構造基盤やユーザーの行動を基礎とするものになります。ここでのユーザーの利益はゆるぎないものであり、投資対効果が最大であり、そして商業リスクが最も低くなっています。このことは、最も広範の装置およびリーダ構造基盤とある程度互換性を持つ、広範な使用へコスト効率良く適用できる低コストNFC集積回路(IC)の必要性を示唆しています。

この文書は新興のNFCアプリケーションや技術および市場に関するInnovisionの展望を述べ、当社の現存の技術や開発における専門的知識がいかにこの技術に確実に利用されているかを説明するものです。

2.技術と標準規格の調和

NFCが基礎とする技術である無線ICタグ、RFIDは珍しいものではありません。しかし、多くのアプリケーションが技術的にRFIDを使って実現可能となっただけでなく、商業的にも実行可能で採算のあう程度に技術と標準規格が達したのは、ごく最近になってからです。
ユーザーの日常生活をいっそう良くするため、大衆消費市場には十分なコスト効率でありなおかつ国際的に合意された標準規格を満たした技術に基づき、NFCを発展させ有益なアプリケーションを展開させる機会が今ここにあります。

NECの何がこのような新しいアプリケーションの幅を広げるのでしょう。そしてこれを可能とするのは最近のどのような産業的な発展なのでしょう。

2.1アプリケーションを実現するもの

NFCの真なる美点は、さまざまな形態の通信や業務処理を可能にする技術を、非常に快適な使いやすい方法で提供する役割にあります。人々が部屋の明かりをつけるため簡単なスイッチを使用したり、あるいはドアを開けるためハンドルを回したりするのと同様に、NFCは、単に触れたり、装置を近傍に置くだけで希望のサービスを享受することができるのです。これにより、より多くの人が年齢や能力に関係なく、いかなる形状の電子「サービス」や他のコミュニケーション媒体へもアクセスしやすくなります。

簡単に言えば、NFCは近くに置かれた(通常は2、3cm)2つの装置間で「情報交換」することにより、これを実現します。この情報交換の開始が常にユーザーの制御下にある一方で、NFCは複雑な手動による設定をおこなう煩わしさからユーザーを解放します。ミリ秒以内で接続が確立されると直接NFCを介して、またはWiFi、Bluetooth、UWB、またはZigBeeなどの他の無線技術を介して、情報が2つの装置間で交換されます。

NFCによりもたらされた簡潔さの一例としては、2人の人がそれぞれの携帯電話でBluetooth無線接続を使用して電子名刺を交換したい場合が挙げられます。NFCを使用すれば、接続の設定は単に電話同士を接触させるだけでおこなえます。ユーザーは場所を設定するため電話にローカルエリアをスキャンさせ他者の電話を識別させるという操作をする必要がなく、パスコードや他の設定を入力する必要もなく、そして間違った装置との接続を確立してしまう危険もありません。

このような機能は「ほんの一握りの恵まれた人」のみが得られるものではありません。ABIResearchによると、全ての携帯電話機の半数は2010年までにNFCに対応することになります。

2.2商業的要因

他の多くの技術と同様にNFCがある程度の誇大宣伝の犠牲者となっている一方で、サービスプロバイダや装置メーカーへ実際に商業利益を提供していることは明らかです。

何よりもまず、NFCは新たに収益を創出する相乗効果を持ち、また内容豊富なサービスをより簡単かつ使用しやすくします。NFC対応装置は、例えば、豊富なメディアコンテンツの購買、保存、再生、および共有を自覚するプロセスを簡素化します。利便性は強力な差別化要因であり、消費者は商品やサービスへのアクセスや支払いに最も便利な方法を選ぶ傾向があります。

発券の分野では特に、NFCはチケットの発行や発券設備を維持するためのコストを低減するのに役立ちます。これはすでに大量輸送や航空機発券において証明されています。さらに、NFCは世界中の何百万人もの人々により日々使用されている現存の非接触式構造基盤に基づくものです。

最も戦略的レベルにおいて、NFCは製品およびサービスのプロバイダに消費者との新しい通信チャネルを確立させることを可能とします。消費者がNFCタグに触れて更なる情報を求め、または宣伝に参加することを選ぶと、他の情報や宣伝プログラムにも参加したいかが尋ねられます。

2.3NFCはどのように動作するか

NFCは短距離の、標準規格をベースとした無線接続技術であり、近接近している電子装置間の通信を可能とする磁界誘導を用いたRFID技術に基づいています。これは安全なデータ転送を認証する識別プロトコルにシームレス媒体を提供します。これによりユーザーは単に装置同士を接触させるか装置同士を近接近させることにより、直観的で安全かつ非接触式の業務処理をおこない、デジタルコンテンツにアクセスし、電子装置へ接続することができます。

NFCは、約20cmまでの距離で、標準の無認可の13.56MHz周波数帯域で動作します。現在、106kbit/s、212kbit/s、および424kbit/sのデータ転送速度を提供し、将来的にはさらなる高速度を期待しています。

NFCを用いて通信する2つの装置において、一方はNFCリーダまたはライタを備え、もう一方はNFCタグを備えている必要があります。このタグは基本的にはデータを含む集積回路であり、アンテナに接続され、リーダにより読み込みと書き込みがおこなわれます。

NFCプロトコルの適用をうける動作モードは2つあります。アクティブモードとパッシブモードです。アクティブモードにおいて、両装置はデータを送信するためそれぞれの電波を生成します。パッシブモードでは、一方の装置のみが電波を生成し、もう一方はデータを転送するための負荷変調を使用します。NFCプロトコルでは、この場合には開始する方の装置が電波を生成する責任を負うべきとします。

2.4国際標準規格と相互協力

NFCは、モバイル機器や構造基盤、技術におけるトップメーカーやあらゆる主要な支払プロバイダにより支援されています。2004年、移動体通信、半導体、および家庭用電化製品の大手企業は、相互運用を確保するためNFC技術の使用を標準仕様により進展させることを目的として、非営利団体であるNFCフォーラムを組織しました。このフォーラムは現在世界中に80の加盟組織を有しています(2006年6月末現在)。

NFC技術の基礎を成す層には、ISO、ECMA、およびETSI標準規格があります。NFCはスマートカードの相互運用に関する主な国際標準規格であるISO14443に準拠しているため、世界中ですでに使用されている数百万もの非接触式スマートカードおよびリーダに対応します。

2006年6月、NFCフォーラムはNFC準拠装置に関する標準化された技術アーキテクチャ、初期仕様、およびタグ形式を紹介しました。これにはデータ変換形式(NDEF)、およびスマートポスター、テキスト、そしてインターネットリソース読取用アプリケーションのための3つの初期記録タイプ定義(RTD)が含まれます。

これに加えて、NFCフォーラムは全てのNFCフォーラム準拠装置がサポートしなければならない4つのタグ形式の初期セットを紹介しました。これらはISO14443タイプAおよびB(非接触式スマートカードのための国際標準規格)およびFeliCa(ISO18092から派生した、パッシブ通信モードの標準規格)に基づくものです。これらの必須形式に適合するタグは、最初はInnovision、Philips、Sony、および他のサプライヤーから入手でき、すでに10億を超えるタグが世界中に展開されています。

NFCフォーラムは、可能な限り広い範囲のアプリケーションと装置機能を提供するような初期タグ形式を選択しました。ISO14443Aに基づくタイプ1および2はメモリ容量が小さく(1および2キロバイト)、これは低コストであり使い捨てアプリケーションに適することを意味しています。これらは比較的低速(毎秒106KB)で動作し、特定のコマンドセットで駆動されます。タイプ3はFeliCaに基づき、より大きなメモリ(1MBまで)とより高い転送速度(毎秒212KB)を有します。これは、より複雑なアプリケーションに適している一方で、より高額でもあることを意味します。タイプ4はISO14443に基づいており64KBまでのメモリに特定され、その転送速度は毎秒106~424KBです。これは複数のアプリケーションに適します。

3.新しい方法による人々の生活への関わり

NFCは、現存のシステムと人間の行動を基礎とすることにより、人々の生活をより快適かつ便利にします。これは新しいメディアやコンテンツサービスへのアクセスをより直感的にし、物品に対する支払いを容易にし、情報の発見や同期化や共有を容易にし、交通機関や他の公共サービスの使用を容易にすることになります。

ABIResearchの研究によると、2007年までに、大量なNFCの普及は一般的になるでしょう。まず初めに携帯電話機において、その後PCやセットトップボックス、カメラ、およびプリンタを含む他の種類の家庭用電子機器において展開されるでしょう。他の装置や機器は近い将来NFC対応となる可能性があり、これには次のものが含まれます:レジおよび他の販売機器、現金自動預け払い機、ポスター、道路標識、バス停、および位置情報確認、自動販売機およびパーキングメーター、回転ドア、エントリシステム、ドアオープナー、および製品包装などです。

重要なことは、NFCが、全てのものをネットワークへ接続する「ユビキタス・コンピューティング」を可能とするのではなく、人々がその時点の必要性に適した接続を臨機応変に確立する選択肢を有する「ユビキタス通信」を可能とすることです。潜在的なNFC対応アプリケーションは無限にありますが、Innovisionは今日または近い将来、有益に供給できるいくつかのアプリケーションを特定しています。これらは3つのカテゴリーに分類されます:サービスの開始、ピアツーピア、および支払い&発券業務です。

3.1サービス開始

サービス開始のシナリオにおいて、ユーザーは携帯電話などのNFC対応装置を特別に配置されたNFCタグに接触させます。このNFCタグは少量の情報を装置に供給し、これにはユーザーが取得することに決定した数行のテキストやウェブアドレス(URL)、電話番号、もしくは他のデータなどが含まれます。

このタイプのアプリケーションの一例としては、スマートポスターが挙げられます。このポスターはある種の新製品または新サービス、もしくはイベントを宣伝するものであり、ユーザーの装置をポスター内に内蔵されたNFCタグに接触させると、ユーザーはウェブサイトのURLを受信し更なる情報を得ることができ、またはチケットを予約することが可能となります。

このタイプのアプリケーションは、単にNFC読取装置をパッケージに接触させることにより、店舗の商品に関する更なる情報を得たり、もしくは薬物に関する情報をダウンロードしたりする場合にも役立ちます。例えば、ユーザーがテーブル上の特定位置に触れて空調の制御を開始するような室内気候管理におけるアプリケーションも可能です。警備員のような孤立して作業する人もNFC対応装置を使用し、建物をあちこち移動する際に「チェックイン」することができます。

NFCタグはすでに、ユーザーの生活を快適にする特別な「近道」を作成するNFCステッカーを増刷するのに適した統一小売価格に達しています。例えば、子供が学校から帰宅し扉のすぐ内側にあるNFCステッカーに触れると、保護者に「学校から帰宅しました」のメッセージが送信されます。視力の弱い、もしくは関節炎を患っている高齢者は友人や家族の電話番号が保存されたNFCステッカーを保有することが可能です。ステッカーは人々の写真の角に貼り付けられ、NFC対応電話で触れると電話番号を調べたりキーパッドを使用したりすることなく正しい人物へ電話をかけられます。

3.2ピアツーピア

ピアツーピアのシナリオにおいて、NFCは2つの装置間の通信を可能とするために使用され、データは2つの装置間で局所的に送信されます。情報量が比較的小さい(1キロバイトまで)場合、NFCを使用してデータ自身を送信することが可能です。しかし、多くみられるピアツーピアのシナリオにおいては、共有したい情報を搬送するためNFCが別の無線接続手法(BluetoothもしくはWiFiなど)を確立するのに使用されます。

この種のアプリケーションの一例として、ユーザーがカメラ付き携帯電話もしくはデジタルカメラを用いて一連の写真を撮り、その写真をプリントアウトしたい場合が挙げられます。ユーザーは単に装置をNFC対応プリンタへ接触させるだけでよく、Bluetooth接続が確立され、装置からプリンタでプリントアウトしたいデジタル写真が送信されます。

ピアツーピアNFC通信はインターネットカフェにおいても使用され、手動で入力することなく正しいWiFi設定を取得できます。ユーザーは自身の携帯電話をテーブルの特定位置に接触させて設定をダウンロードし、その後携帯電話を自身のノート型パソコンに接触させます。これによりWiFi接続が自動的に確立されます。

3.3支払い&発券業務

支払いと発券業務のアプリケーションは、NFC標準規格の作成を駆り立てた要因の1つです。銀行および携帯ネットワークのオペレータは支払いと発券業務アプリケーションをNFC対応携帯電話に備えさせることに非常に関心を示しています。VisaInternationalのおこなった調査によると、携帯電話をベースとした取引を試みた者の89パーセントが代替的な
支払い手法よりもこのアプリケーションの利便性を好むことがわかっています。

装置メーカーは、運送業により展開されているスマートカードリーダーおよび他のシステムと互換性のある短距離通信標準規格が必要であることに気づきました。NFC対応装置を支払いと発券の装置、「電子財布」として使用することにより、NFCはスマートカード支払いおよびスマート発券のシナリオをさらに発展させることが可能です。究極的には、これは人々が今日財布に入れて持ち歩く無数のクレジットカードやデビットカード、会員カード、プリペイドカード、およびその他カードと置き換わることになります。

初めは、しかしながら、NFC対応カードおよびNFC対応装置は自動販売機やパーキングメーターなど少額支払い現場で使用されるでしょう。スマート発券機構において、NFC対応携帯電話が使用され、ユーザーは券売機まで行かなくともどれほどのクレジットが多目的スマートチケットに残っているかを確認することができます。究極的には、全てのNFCリーダ構造基盤、取引の処理、およびセキュリティー検査のルーチンの環境が整えば、NFC対応装置を今日のクレジットカードのようにいかなる支払い状況においても使用することができるようになります。

NFC対応の支払いおよび発券は、現金および他の伝統的な支払い手法と比較し、より簡単かつより安価です。加えて、今日ユーザーが現金払いでは残さない最少額の支払いの記録を残すこともできます。

4.あらゆるものにおけるチップ

NFC対応装置およびアプリケーションの商業的な実用化への鍵は、NFC集積回路の機能とコストにあります。このことは低価値の製品から高価値のチケットまで全てに当てはまります。この大衆市場向けのニーズを満たすために絶対不可欠なのは、プラットフォーム独立型の、メモリ効率のよい低消費電力NFCタグと他のIC実装です。

InnovisionR&Tは、NFC機器とアプリケーション開発者の必要性に応じるため、限定使用のスマート発券アプリケーション用の良好なJewelTMRFIDICにおいて開発された専門的知識および技術を適応させています。

Innovisionは、NFCの最初の大衆市場向けアプリケーションは新しいバックエンド・インフラにおける多額の投資を必要としない、比較的低い金融資産価値のアプリケーション、つまり不正のリスクが低いものとなると考えています。

例えば、低コストのNFC/RFIDタグはスマート発券アプリケーションにおいて使用されます。ここで、標準化されたNFCリード/ライトプロトコルを有することのメリットの1つは、消費者が券売機を探すことなく個々のNFC対応電話でどれほどのクレジットが多目的チケットに残っているかを確認できる点にあります。このためには現存するスマート発券構造基盤のみが必要となります。最終的には、電話をベースとした支払い構造基盤が導入されれば、人々はそれぞれの電話を「チケット」として使用することが可能となります。

同様に、スマートポスター・アプリケーションにおいて、人々が必要なのは探している情報(通常はウェブURLまたは他のテキスト部分)を得るためNFC対応電話を使用してNFC/RFIDタグを読むという標準化された方法だけです。

4.1小型、、、そして、安価であることは素晴らしい

低コスト、低リスクのアプリケーションによる最初のNFC大衆向け市場は、低コストの低電力パッシブNFCタグを必要とするでしょう。さらにNFCリード/ライト機能の携帯電話や他の装置への低コスト統合が要求されるでしょう。

複数のアプリケーションに使用できる小型で低コストのNFCICの必要性を満たすため、InnovisionR&Tは2006年にTopazTMNFC/RFIDリード/ライトICファミリーを導入しました。当初のTopaz実装品は、およそ0.59mm×0.59mmの大きさであり、ISO14443パート2および3に対応する設計であり、同時にISO18092(NFCIP-1)やISO21481に則るNFC装置での動作を対象としており、広範なNFCアプリケーションに適します。

Topazはリーダ/ライタモードにおけるNFC装置の使用に適しています。初期の「要求と応答」の通信サイクルは装置とISO14443およびISO18092標準規格に準拠するタグとの間で設定され、その後データがタグに読み込まれ書き込まれます(もしくはキャンセルされます)。

最初のTopaz実装品は、13.56MHzの周波数帯域において動作するパッシブNFC/RFIDタグを形成するループアンテナへの接続用に設計された二端子集積回路です。これは、8バイトのブロック12個分としてまとめられた96バイトのユーザー・リード/ライトメモリ領域を備えた、120バイトの物理的EEPROMアレイサイズに基づくものです。各ブロックは、読み取り専用とするため、もしくはデータのさらなる変更を防ぐため、個別にロックすることが可能です。加えて、データ確認もしくはクローン作成防止において使用するため7バイトの固有IDデータ(製造中にプログラミングおよびロックされます)および、1回使用のトークン信号として使用される6バイトの1回使用のプログラマブルメモリがあります。

メモリ容量は意図的に比較的小さく保たれており、タグのコストが可能な限り低く維持されています。ほとんどの大衆市場向けNFCアプリケーションにおいて、タグには大きなメモリ容量は必要ではなく、超過分は単に無駄になるだけです。

16バイトブロックのシステムについては、8バイトブロックの組が書き込まれリーダにより共にロックされます。完全なデータにまとめるために各ブロックを個別に読み込むのではなく、全てのメモリ内容を一度に読み込むコマンドもあります。

TopazNFCICの主な利点の1つは、80文字までのテキストを保持することのできる記憶容量があることです。これは、例えばスマートポスターもしくは製品包装に必要な潜在的に長いURLを記憶する場合に便利です。

Topazは、独立型NFCタグにおけるものとして、またはシステムオンチップ(SoC)実装のための許可IPブロックとして、非常に広範なアプリケーション用にカスタマイズすることができるよう設計されています。

用語解説

  • Bluetooth短距離(10~100m)無線通信プロトコル
  • ECMA欧州コンピュータ製造工業会
  • ETSI欧州電気通信標準化機構
  • ISO国際標準化機構
  • ISO14443近接型スマートカードを律則するISO標準規格
  • NDEFNFCデータ交換形式
  • NFC短距離無線通信
  • RFID無線ICタグ
  • RTD記録タイプ定義
  • UWB超広帯域無線
  • WiFiワイ・ファイ―IEEE802.11標準規格の基づくワイヤレスネットワーク技術
  • ZigBeeIEEE802.15.4標準規格に基づく短距離無線通信プロトコル

http://www.nfc-forum.org/resources/white_papers/japanese_nfc_in_the_real_world_III.pdf

現代社会における短距離無線通信―パートII

正しいNFCアプリケーションへの正しいNFCタグタイプの使用

1.はじめに

短距離無線通信(NFC)は、あらゆる種類のアプリケーションにおいて広く採用されることを予定しています。NFCは、現存のシステムや人間の行動を基礎とすることで、人々の生活をより快適かつ便利にします。また、新しいメディアやコンテンツサービスへのアクセスをより直感的にし、商品の支払いを容易にし、情報の発見や同期化および共有を容易にし、交通機関や他の公共サービスの使用を容易にします。

NFCは多くのプレーヤーに、新しい製品やサービスの機会を実現します。ネットワークオペレータや携帯電話機メーカーからアプリケーションやサービスの開発者、そしてサービスプロバイダや企業へと開放します。しかし、NFCの大衆向け市場を軌道にのせるため、そしてこの技術を中心に有益な事業を構築するため、設計者やメーカーは正しい技術的選択をおこなうことが重要となります。これはNFCタグに関しては特に言えることであり、大衆向け市場の展開に適した価格水準において特徴や機能がアプリケーションのニーズに合っている必要があります

NFCの最初の大衆市場向けアプリケーションは、現存する通信構造基盤やユーザーの行動を基礎とするものになります。ここでのユーザーの利益はゆるぎないものであり、投資対効果が最大であり、商業リスクが最も低くなっています。このことは、最も広範囲の装置やリーダ構造基盤とある程度互換性のある、コスト効率の良い広範な使用へ適用される低コストNFC集積回路(IC)の必要性を示唆しています。

InnovisionはNFCのアプリケーションに関して3つの重要分野を予定しています。1つはサービス開始の分野、ここではこの技術は他のサービスを「実現可能」するために使用されます(データ転送のため他の通信リンクを開くなど)2つ目はピアツーピアの分野、ここではNFCは2つのデバイス間の通信を可能にするために使用されます。3つ目は支払い&発券の分野、ここではNFCは新興の高性能な発券および電子支払構造基盤を基礎とします。

この文書はInnovisionの「現代社会におけるNFC」白書シリーズのパートⅠに続くもので、これはNFCアプリケーション、技術、および市場に注目するものです。NFC製品およびサービス開発者が様々なアプリケーションについてNFCフォーラムにより義務付けられる4つのタグタイプの適合性を識別するのを支援することを目的とします。

2.主要NFCアプリケーション

NFCの最初の大衆市場向けアプリケーションは、ほとんど間違いなく新しいバックエンド・インフラにおける多額の投資を必要としない、比較的低い金融資産価値のアプリケーション、また不正のリスクが低いものとなるでしょう。これらのアプリケーションは現存の支払いや通信の構造基盤およびユーザーの行動を基礎とするものであり、ユーザーの利益がゆるぎなく、投資対効果が最大であり、そして商業リスクが最も低くなります。

NFC技術の主要な初期アプリケーションは3つのカテゴリーに分類されます。

  • ピアツーピア、ここでNFCは2つの装置間の通信を可能とするため使用されます
  • 支払い&発券、ここでNFCは新興のスマート発券および電子支払構造基盤を基礎とします
  • サービス開始、ここでNFCはサービスの発見、もしくは他のサービスを「解放」するため(データ転送のためもう1つの通信リンクを開くなど)に使用されます。

ピアツーピア・アプリケーションにおいて、NFCは2つの装置間の局所的通信を設定するために使用されます。比較的少量の情報(2、3キロバイトまで)に関して、NFCはデータ自身を送信するために使用され、NFC装置が相互に接触している短時間の間にデータを交換することも可能です。しかし、大量のデータに関しては、NFCは交換するコンテンツを運ぶための別個の無線接続(BluetoothもしくはWiFiなど)を確立するためにむしろ使用されます。典型的なピアツーピア・アプリケーションとしては、カメラ付き携帯電話やデジタルカメラから直接写真をプリントすることが挙げられます。ユーザーはプリントしたい写真またはフォルダーを選択し、装置をNFC対応プリンタに接触させてBluetooth接続を確立しデジタル写真を送信するだけです。

クレジットカード会社、銀行および携帯電話ネットワークのオペレータは、NFC対応携帯電話に支払および発券アプリケーションを装備させることに価値を見出し、これはNFC標準規格の作成を駆り立てる要素の1つとなりました。クレジットカード会社について言えば、NFC対応支払は現金や他の伝統的な支払手法よりも処理がより簡単でなおかつ費用がかからないものとなります。加えて、ユーザーは最少額の支払についての記録をも持つことができ、これは今日現金ではなされないことです。最初は、NFC対応装置は迅速給仕のレストランやキオスク、自動販売機およびパーキングメーターなどの不正度の低い、価値の限られた支払状況で使用されやすいでしょう。

サービス開始では、ユーザーはNFC対応装置をNFCタグに接触させ、これにより数行のテキストやウェブアドレス(URL)、電話番号、または他の単純なデータのような少量の情報がNFC装置へ転送されます。新製品、サービス、またはイベントを宣伝するスマートポスターは、このタイプのアプリケーションの例として挙げられます。NFC対応携帯電話をポスターに埋め込まれたNFCタグに接触させることにより、ユーザーはブラウザを開いたりURLを入力したりするため携帯電話に入力することなくウェブサイトへ導かれ、更なる情報を得、またはチケットを予約することができます。

3.NFCにより義務付けられるタグタイプ

サービス開始ユースケースは2つの装置がNFCを用いて通信し、一方のデバイスはNFCリーダ/ライタであり、もう一方はパッシブNFCタグであることを要します。

2006年6月、NFCフォーラムは標準化されたNFC準拠装置の技術アーキテクチャ、初期仕様、およびタグ形式を紹介しました。これにはデータ交換形式(NDEF)、およびスマートポスター、テキスト、およびインターネットリソースの読込みアプリケーションに関する3つの初期記録タイプ定義(RTD)が含まれます。

加えて、NFCフォーラムは全てのNFCフォーラム準拠装置がサポートしなければならない4つのタグ形式の初期セットを発表しました。これらはISO14443タイプAおよびB(非接触式スマートカードの国際標準規格)およびFeliCa(ISO18092に準拠する、パッシブ通信モードの標準規格)に基づきます。これらの必須形式に対応するタグは、最初はInnovision、Philips、およびSonyから入手でき、この種のタグは大量輸送およびアクセスコントロールのような非NFCアプリケーションのためではありますが、すでに10億個以上が世界中に展開されています。

NFCフォーラムは可能な限り広範なアプリケーションと装置機能に応じるような初期タグ形式を選択しました。

  • タイプ1はISO14443Aに基づき、現在はInnovisionResearch&Technology(TopazTM)からのみ入手可能です。これは96バイトのメモリ容量を有し、広範なNFCアプリケーション用の非常にコスト効率の良いタグとなっています。
  • タイプ2もISO14443Aに基づき、現在はPhilips(MIFAREUltraLight)からのみ入手可能です。これはタイプ1のタグの半分のメモリ容量です。
  • タイプ3はFeliCaに基づき、現在Sonyからのみ入手可能です。これはより大きなメモリ(現時点では2キロバイト)を有し、より速いデータ転送速度(212kbit/s)で動作します。したがって、より複雑なアプリケーションに適していると言えます。
  • タイプ4はISO14443A/Bに完全に対応しており、Philips(製品の典型例はMIFARE DESFire)を含む多くのメーカーから入手可能です。これは大きなメモリ(106kbit/s~424kbit/sの読み取り速度のアドレス指定能力)を提供し、複数のアプリケーションに適しています。

タイプ1および2のタグとタイプ3および4のタグが非常に異なるメモリ容量を備えた2つの非常に異なるグループであることは、あまり意味のないことです。これらが使用されるアプリケーションのタイプには重複する部分がほとんどないからです。

4.任務に適した正しいタグ

NFCフォーラムに義務付けられた4つのタグタイプについて、設計者はあれこれと取り組む前に各タイプの優劣を十分に考える必要があります。初期の大衆市場向けの展開は低金融資産価値の低リスクアプリケーションとなりやすいため、NFCタグが正しいコストと性能のバランスを備えた要件を満たすことが重要です。コストやサイズを考慮する必要性が低く、より良いタグ機能を要するような専門的なアプリケーションもできてくるでしょう。

表1はいくつかの主要なNFCアプリケーションと、NFCフォーラムにより義務付けられた4つのタグタイプのそれぞれに関する以下の特徴や機能による適合性とを示しています。

スマートポスター・アプリケーションにおいて、ユーザーは携帯電話をポスター自身に内蔵されたタグに接触させ、これによりURLを携帯電話へ送信させます。このURLは、例えば、更なる情報を見つけたり特別なクーポンや商品券をダウンロードしたりするウェブサイトへユーザーを導くために使用されます。ここでの得失評価は、大量展開に十分な小型かつ低コストのタグを有する一方で、適度に長いURLといくつかの追加セキュリティー機能を収容するため十分なメモリを要することです。

SMSもしくは電話番号のショートカットのショートカットの使用事例として、ユーザーは携帯電話を各種物体に埋め込まれたタグに接触させることによりテキストメッセージや電話番号を自動的に送信できます。1つの実現性としてあげられるのは、新しい携帯電話での「箱入りタグ」の提供です。ユーザーはステッカーに埋め込まれたタグに電話番号やテキストメッセージを保存できるようになります。タグはフォトフレームに貼られ、写真の人物の電話番号を入手するのに使用されます。これは楽しみのためであるほか、高齢者や障害者にとっても非常に便利な設備となります。SMSテキストを含むタグは家の玄関扉のすぐ内側に付けられ、学校から帰宅した子供達が接触するとテキストメッセージが自動的に保護者のもとへ送信されます。この場合、メモリ要件は少ないため、小型サイズであることと低コストであることが主な考慮事項となります。

Bluetoothペアリングは基本的に2つの装置間、例えば、携帯電話とハンズフリー・ヘッドセット、またはデジタルカメラとプリンタなどの「情報交換」です。これはごくまれなものですが、NFCにより利便性が高められました。通常、ごく少量のメモリが必要とされ、小型サイズかつ低コストも、データ転送を「分裂」させる低い危険性とともに、ここでは合い言葉となります。大きなメモリは、2つの装置間におけるデータの自動転送も伴うアプリケーションにおいて便利です。

MMSもしくは着メロ・・・ダウンロード・ダウンロードでは、ユーザーは例えば製品または宣伝物に触れ、関連する画像メッセージもしくは着メロを自動的に自身の携帯電話へ転送させます。小型サイズは重要となりますが、十分なメモリと安全対策もまた重要です。タグがさらに大きなメモリ容量を備えると、より多くの情報を携帯電話へ直接転送することができます。しかし、NFC装置とタグの短い「接触時間」から生じる制限も考慮する必要があります。実際、交換されるデータ量の上限を接触中2、3キロバイトに設定しています。

タイプ1および2のタグは二元状態で、これはリード/ライトまたは読み取り専用とすることが可能であることを意味します(図1に示されています)。タイプ3および4のタグは一元状態で、これは読み取り専用のみにしかできないことを意味し、正式に発行されるCDやDVDのようなものです。このことは、前述のような「箱入りタグ」のようなアプリケーションにおいては、タイプ1または2のタグのみを使用でき、タイプ3および4のタグはユーザーが独自のものとすることができないことを意味します。

NFCタグにより提供されるリード/ライトのメモリ容量は、より大きなメモリが単価と設置面積を犠牲にして手に入れられることから、特に大衆市場向けアプリケーションにおいては重要な考慮事項です。例えば、スマートポスター・アプリケーションにおいて、より大きなメモリはより長いURLと拡張された安全性オプションに形を変えます。タイプ3および4のタグにより提供される大きなメモリは、特定のアプリケーション、例えば、MMSまたは着メロのような高データコンテンツのダウンロードにおいて便利ですが、スマートポスター、Bluetoothペアリング、またはSMSテキストもしくは電話番号のような低データショートカット・アプリケーションにとっては過度となってしまいます。

しかし、この分野においてコストと機能のバランスをとることは、特にある程度のセキュリティーを要する場合に重要です。例えば、スマートポスターの不正コピーや改ざんにより、公共の環境に提供されるURLや電話番号が変更されることを防ぐことは望ましいことです。電子署名を要するとしても完全なURLを提供するためには、十分なメモリが必要となります。タイプ1のタグは96バイトのリード/ライトメモリを提供しますが、一方でこれに最も近い同程度のライバル製品(タイプ2のタグ)は48バイトしか提供しません。これは決定的(図2に示されるサンプルURLの長さに示されます)であり、NDEFオーバーヘッドがタイプ1において6バイトを占め、タイプ2において2バイトを占めることを考えると、URLNDEFオーバーヘッドは10バイトを占め電子証明は16バイトまたは32バイトプラス6バイトのヘッダーを要します。電子署名が16バイトである場合、タイプ1のタグでは58バイト(文字)分がURL自体に残されており、タイプ2のタグでは14バイトのみが残されています。電子署名が32バイトの場合、タイプ1のタグでは42文字が残されている一方で、タイプ2では使用不可能の状態となります。

データをタグに書き込んだ後、読み取り専用モードへとロックし上書きや書き換えを防ぐことができます。タグを読み取り専用にロックすると誰もタグを修正することができず、さらにこの処理は取り消せません。これはタイプ1および2のタグ形式のみが提供する重要なセキュリティーとプライバシーに関する特徴と言えます。

NFCタグの単価は、メモリ容量や追加の特徴およびICの複雑度など多くの要因による影響を受けます。タグの価格は特定アプリケーションへの適合性を特定する当然の重要因子です。例えば、ICがハンズフリー・ヘッドセットにおけるBluetoothペアリングに使用されるだけである場合、これはユーザーが数回行うだけですが、高速の読み取り速度や大きなメモリのような特徴は無意味です。

NECタグのダイサイズはメモリの量、チップの複雑度、およびIC構造の効率により影響されます。コンパクトなタグは控えめな配置が重要であるようなアプリケーションや他のチップセットを必要とする統合にとっては明らかに良いと言えます。スマートポスター・アプリケーションにおいて、タイプ1および2のタグはタイプ3および4のタグよりもコスト、サイズ、およびメモリ容量のバランスが適切です。

タグにより提供される読み取り速度は重要な因子です。読み取り速度は速いほど、タグとリーダが近接近している間にデータが不完全または不適正に転送されるリード/ライトの「分裂」が生じる危険性が低くなります。したがって、読み取り速度はシステムの信頼性やユーザーの経験に直接の影響を及ぼします。これは、ユーザーがスピードと利便性を称賛し、試行や再試行を欲しないスマートポスター・アプリケーションにおいて重要となります。タイプ1のタグにおける独占的な「全て読む」というコマンドにより、タグの全ての内容をブロック毎ではなく一度に読むことが可能となります。これにより、読み取り性能が大幅に向上されます。

5.概要

NFCの大規模な成功は、正しい機能と適正な価格を備えたNFCタグの可用性によるものです。アプリケーションにとってタグの機能とコストの最適バランスは何かを考えることは、設計者にとって重要です。

NFCの最初の大衆市場向けアプリケーションは現存の構造基盤を基礎とし、最初は比較的簡単なショートカット、識別、サービスの発見と開始、または装置のペアリングアプリケーションとなりそうです。このことは現存する形状因子や集積回路へうまく統合するのに十分小型で、低コストかつ柔軟な標準化されたタグ形式が必要であることを示唆しています。

用語解説

  • Bluetooth短距離(10~100m)無線通信プロトコル
  • ISO国際標準化機構
  • ISO14443近接型スマートカードを律則するISO標準規格
  • NDEFNFCデータ交換形式
  • NFC短距離無線通信
  • RFID無線ICタグ
  • RTD記録タイプ定義
  • WiFiワイ・ファイ―IEEE802.11標準規格の基づくワイヤレスネットワーク技術

http://www.nfc-forum.org/resources/white_papers/japanese_nfc_in_the_real_world_I.pdf

現代社会における短距離無線通信(NFC)―パートIII

システムオンチップ(SoC)統合への移行

1.はじめに

広範なアプリケーションにおける短距離無線通信(NFC)の成功は、企業や消費者により大規模導入されたことによるものです。このことは、携帯電話からノート型パソコン、店頭端末や切符販売機まで、各種装置における技術を簡単かつ低コストで実現する必要性を示唆しています。

NFC技術をコスト効率よく量販電子装置へ統合させる1つの方法は、例えばBluetoothやWiFiやUWB用などの一般的な無線通信やチップセットにおけるシステムオンチップ(SoC)の実装をなすことです。大量生産品において、NFCのSoCへの実装により高い価値が加えられる上に、単価を著しく節約でき、全体的に必要な面積やプロセス要求および所要電力を削減できます。

この文書は、NFC統合のための投資対効果の検討を概説すると共に、カスタムNFC設計を実装するときに考慮すべき重要事項を明らかにするものです。

2.統合―当然のなりゆき

統合は、消費家電製品のライフサイクルにおいて確立された「現実」です。通常、市場に出される最初の製品は個別部品から作られ、その高い販売価格は概して高製造コストと低生産量に反映されます。製品が好評となり成功すると、メーカーは徐々に規模を大きくしていく部品の統合に投資し始め、生産量の増加にしたがい製造コストを引き下げることができるようになります。

統合の傾向は、マクロレベルにおいても見られます。例えば、カーオーディオ機器はほとんどの場合が購買後市場買取であり、個別部品が標準サイズで提供され標準のインターフェースを備え、これらはうまく「組み合わせる」ことができます。現在では、ラジオ・チューナーやスピーカーなど、1つ以上のメディア形式を統合した車載エンターテイメントシステムを備えていない新車が売られることは珍しいでしょう。

消費家電製品の場合、新技術の統合は踏みならされた道を進むようなものです。新技術が現れると、最初の製品はケーブルでPCやデジタルカメラ、または携帯電話へと接続できるものとなるでしょう。次に、PCもしくは電話へ接続するカード型付属品が登場します。その後、メインPCB上のチップセットが提供されます。そして最後に、技術的にも経済的にも納得のいくような、メインPCBにおける他の機能性との技術の一層緊密な統合がおこなわれます。

もちろん、装置自体の内部においても技術は同様の統合プロセスを辿ります。典型的な例としてはGSM携帯電話の進歩が挙げられます。これは、単側波帯(900MHz)のみの動作からマルチバンドGSM(900MHz、1800MHz、1900MHz)動作を介し、マルチモード(GSM/WCDMA)動作に至っています。このような新しい機能が導入されたとき、マルチバンドやマルチモードのブロックがデジタル論理部および信号処理部へ加えられました。

当初は、しかしながら、デジタル論理部とRF技術が異なる速度で進歩していたため、異なるRF部品は別個のブロックとして実装され、RF帯域の様々な組み合わせに対する市場の需要は十分に確立されませんでした。今日、RF設計および市場の受入は、RF部品が全ての周波数に共通な段階まで来ており、これまで異なる帯域に関しては分離されていたアンテナでさえも1つの平面的構造上に統合されています。

言い換えれば、時間とともに、共通性を携帯電話の機能性スタックの域へと移行させることが可能でありかつ望ましくなっています。

現在、電子製品設計者やメーカーが抱える重要な問題は、製品内のどこに、そしてどこまで厳密にNFCを統合させるかということです。

3.いつ、、、どのように、NFCSoCを実現すべきか

NFCをいつ他の技術と統合すべきか、そしてどのインターフェースをホストシステムへ提供すべきかは考慮すべき重要事項であり、標準規格が定着する前の尚早の統合は将来的に更なる技術変更を余儀なくし、その結果遅れを生じさせます。統合が遅すぎすると、コスト効率良い大量生産の量販需要に応じる競争から取り残されてしまうことになります。

この均衡点の選択は、特に、異なる技術が異なるスピードで進歩している場合には重要な市場成功要因となります。統合を不適切な時点でおこなうと―より成熟度の低い技術に安定した技術が統合されると―「統合された」側への機能の追加や開発は、均衡点を過ぎてから統合をおこなう場合よりも費用のかかるものとなります。

統合の時点は時間や市況の変化と共に移行します。つまり、次の統合段階へいつ移行するかを知ることが大切なのです。

3.1 NFC統合の話

他の技術と同様に、NFCは典型的な統合プロセスを経ています。携帯電話へのNFCの最初のプロトタイプの実装は、電話機の背面に留めるカバーユニットでした。差込式のラインカードに類似するものです。これらの装置がNFC対応の携帯電話の市場への参入や検証に有益であった一方で、試験的な生産量が含まれることにより比較的高単価であったため量販消費者製品として軌道に乗りそうにはありませんでした。

現在、NFCが次の統合段階へ移行し、設計者はNFCチップセットを電子装置のマザーボード上に配置させるよう開発するか、もしくはSoC実装へ移行させるかを選ぶことができます。

より大きな統合の利点は大量生産における顕著な費用便益にあり、最新のデザインや開発費を賄う以上の利益があります。しかし、いずれか手段を選択する前に、設計者や技術者は装置においてNFCがどのような役割を果たすか、そしてホスト装置において現存するシリコン上の他の回路と「重複」する領域があるかを検討すべきです。

3.2 SoCの機会

典型的な電子装置のマザーボードにNFCを「おんぶ」することができる回路はあるでしょうか?今日のRFベースの技術のように、NFCはアナログ電波を送受信するためのある程度のアナログ回路を要します。今日約99%のシリコンは純粋にデジタル(ほとんどがメモリ)であり、ここに追加のプロセスを構築する余地はほとんどありません。しかし幸運にも、携帯電話やPDA、デジタルカメラ、および支払用端末のような装置においてはいくつかの複合のデジタルまたはアナログ回路の領域が存在し、これはNFCプロセスのための理想的なホストとなります。なかでも、Bluetooth、WiFi、およびUWBなどの無線通信チップセットが主要な例として挙げられますが、他にもいくつかの候補があります。

NFCのSoCへの実装のためこのようなホストを使用することは、経済的に大きな意味を成します。典型的な電子装置のマザーボード上に独立型NFCチップセットを含ませる場合の追加費用は、1個当たり5米ドルとなり、25~30個のコネクタピンを要します。これと同じNFC機能性をBluetoothチップセットにカスタムIPブロックとして実装させると、1個当たり1米ドルの追加費用となり、たった6~8個のコネクタピンしか必要とならず(テストピンを含む)、そして明らかに、個別のチップは必要ではありません。NFCIPブロックはオンチップ接続を使用してBluetoothチップセットの角に配置することができます。

SoCに関する経済的魅力は、大量市場に対応させた場合に明らかとなります。もちろん、SoC実装のためカスタムIPを開発するための前払い費用はかかりますが、これは材料仕様書や大量生産における割引を通じて短期間で償還されるでしょう。

年間3億個のBluetoothチップセットが販売されていることを考えると、100万米ドルの開発投資を取り戻すための時間はわずかなものです。メーカーはこのSoCの統合を受けて、組み込まれたNFC機能に関しホスト・チップセットにプレミアムをつけることができます。

ピンコネクタの削減も有意義なものになります。携帯電話やデジタルカメラおよび支払用端末のような電子装置において、マザーボード内の「有用な面積」は非常に限られておりなおかつ高価です。
NFCをBluetoothやWiFiまたはUWBのチップセットに統合させることは、技術的観点からも大きな意味を成します。これらのRFベースの技術により必要とされる多くのプロセスや部品は同じです:いくつか例を挙げるとアンテナ、電源、クロック、データバスなどがあります。NFCIPブロックをチップ上に有することにより、関与する距離間において動作を保証するための独自のESD保護やドライバを備える必要がなくなります。

ホスト・チップセットと同様に、NFCは自身のマイクロプロセッサを備えた「賢い周辺装置」として実現され、NFCの活動がある度にメインプロセッサを起動させる必要がありません―「本物」のデータが渡されたときにのみホストプロセッサが関与します。その上、NFC素子はメイン装置開発プログラムの一部とはなりません。

3.3 設計と実装の問題

SoC用のカスタムIPブロックとカスタムチップ実装における選択は、プロジェクトの重要性により決定されます―それが重要視するものがメモリか、サイズか、そして電源条件か、例えば追加の機能が現存するSoCに必要であるか否かなどです。

例えば、NFC機能をBluetoothSoCへ加える場合、異なる半導体業者が異なるSoC設計の慣行や手順を使用するという事実から課題が生じます。メモリ最適化を重要視する者もいれ
ば、サイズやレイアウトまたは電力消費に注目する者もいます。異なる環境での使用のために最適化したNFCIPブロックを提供するには、産業ツールや各業者の手順についての幅広い経験、消費者の要求や設計フローに関する深い理解を要します。

もう1つの要点は、NFCの実装に使用されるプロセスの幾何学配置は半導体業者のSoCのものと同じである必要があることです。これは異なる形状にうまく移行できるロバストNFCアーキテクチャや設計を要求するものです。そしてこれを製造することは数多くの詳細に渡る設計の知識や経験を要します。

標準的な設計フローは仕様から始まり、アナログとデジタルの両要素と関連インターフェースから構成されるアーキテクチャ設計へと進みます。これらの要素を全てカスタムソリューションへとうまく結集させるには、アナログとデジタルの両設計における高度な専門知識を要します。

NFCIPのアナログ部品とデジタル部品がSoC内に統合されると、新しいSoC構造におけるNFC素子は製品化を可能とするためSoC仕様に反映することができます。

3.4 カスタム設計の利点

開発費を正当化するのに十分な生産需要量があると仮定して、カスタムIC設計は―独立型であれSoC実装であれ―コスト、性能、サイズ、および効率のための構造を最適化する利点を提供します。

カスタムIC設計はIP所有権のコストも最適化し、目的のために注意深く調整されるように完全な非反復技術を伴います。これは、所定のアプリケーションのため、電力消費やシリコン領域およびメモリが特定要件に向けて最適化されることを意味します。NFCSoC実装のためカスタムIC構造を使用することは、ホスト・チップセットの設計者が新しい分野においてエキスパートになる必要がなく、低い技術的リスクを伴いながらNFC機能を製品へうまく統合できることを意味します。

InnovisionResearchandTechnologyplcはすでにNFCIPコアウェアソリューションを開発しています。これは多様な幾何学形状とプロセスにカスタマイズでき、製品化までの時間を短くし、技術的リスクを低くする上に、正確にカスタマイズされたNFC設計の単価をできるだけ少なくすることを可能とします。

Innovisionは世界最大である専属のNFCIC設計チームを有しており、業界トップレベルの設計ソリューションを約束する実績を持っています。

4.概要

NFCが大衆市場向けの技術として広範囲にわたり導入されるようになり、SoC実装による利点は非常に強力なものとなってきています。Bluetoothチップセットのメーカーはすでに、携帯電話市場におけるBluetoothとFMの統合が良好なビジネスモデルを提供することを明らかにしています。どちらかといえば、広範にわたる用途においてはBluetoothとNFCの統合ビジネスモデルはより優れたものであり、このモデルは他のチップセットにも同様に良好に適用できます。

NFCSoC回路の設計および実現には、きめ細かい知識や経験が必要となります。BluetoothやWiFiに統合されるNFCの設計の誤りや後の変更を正すためには、何十万ドルもの費用がかかります。

したがって、NFCのシステムオンチップ(SoC)実装を考えているチップセットのメーカーが設計過程において専門家の支援と助言を求めることは理にかなっていると言えます。

InnovisionResearch&Technologyは業界トップクラスのNFCIPを開発しており、完全にカスタマイズされたNFCソリューションを最低限の追加単価で短時間に安価で実現することができます。また、これはホストICやエンドマーケット用に完全に最適化されます。

5.用語解説

  • Bluetooth短距離(10~100m)無線通信プロトコル
  • FM周波数変調無線
  • GSMグローバル・システム・フォー・モバイル・コミュニケーションズ(デジタル携帯電話に使われている無線通信方式の1つ)
  • NFC短距離無線通信
  • PDA携帯端末
  • RF無線周波数
  • RFID無線ICタグ
  • SoCシステムオンチップ
  • UWB超広帯域無線
  • WCDMA広帯域符号分割多元接続
  • WiFiワイ・ファイ―IEEE802.11標準規格に基づくワイヤレスネットワーク技術

The Worldview of NFC

http://www.nfc-forum.org/resources/presentations/World_View_of_NFC_Tagawa_5.15.13.pdf

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