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これからのマーケティングの最重要キーワードMobileValue(モバイルバリュー)とは?― Actualized Marketing(アクチュアライズドマーケティング) 詳論その1

このブログでもすでに2回にわたってActualized Marketing(アクチュアライズドマーケティング)の全貌をご紹介しました。Actualized Marketingは、潜在価値の顕在化、マスメディア主導からソーシャルメディアを中心とした消費者との協力への移行、E2Eの本質への回帰、業界の境界線が溶解する流動化への対応ということを謳っています。詳しくは下記の2つのブログをお読みください。

Actualized Marketingの概要 その1

Actualized Marketingの概要 その2

今回から数回にわたり、Actualized Marketingメソッドについてより実践的な方法をご紹介していきます。まずその前に、Actualized Marketingを実践するにあたって押さえておくべきキーワードがあります。

それは、

MobileValue(モバイルバリュー)

SocialValue(ソーシャルバリュー)

流動化とコネクトそして交換

潜在価値の顕在化

です。

まずはMobileValueから説明しましょう。「Actualized Marketingの概要 その2」でも少しご説明したとおり、モバイルバリューという言葉はモバイル社会研究所のモバイルバリュー・ビジネスから引用しています。モバイル社会研究所の定義ではモバイルバリューは、電子マネー(Edy、Suicaなど)、企業ポイント(マイレージなど)、仮想通貨(オンラインゲームの通過)を総まとめにした交換価値のことを表しています。

しかし、Actualized Marketingではこのモバイルバリューを、今のソーシャルマーケティングに沿った形でもう少し拡張してとらえています。

顧客視点ではなく、人間視点

Actualized Marketingでは、マス広告時代のマーケティングのように企業が都合よく解釈したようなお客様視点はもうやめて、人間本来の視点に還ろうと言っています。それは、複雑多様化した現代社会では人間のあり方も変わっています。たとえば私の友人の女性は、会社員であり、課長であり、また投資家でもあり、母であり、妻であり、ボランティアであり、趣味で音楽を演奏する、という様々な面を持っています。

このように多様化した側面を持つ人はすでにたくさんいて、そのような人たちが企業の商品やサービスを購入し利用しているのです。ちなみに今の政治や経済は、経団連vs連合、旧エネvs新エネなどという二項対立で思考するので解決の糸口をみつけることができずに閉塞しています。

一方、インターネットはさまざまなソーシャルネットワークやプラットフォームが誕生したことにより、本来の意味でのE2Eが実現しています。通信手段へのアクセスはネットとスマートフォンで敷居が低くなり、個々の人たちの能力がつながって自由に活かせる環境になっています。

Actualized Marketingでは、このような一人ひとりの個人が発揮する独自の価値をMobileValueという言葉で表現しています。それは、電子マネー、企業ポイント、仮想通貨のような見える価値だけではなく、個人が学習したり経験することで持つことができる、見えない価値(潜在的価値)をも含めた個人が所有するすべての価値のことを言っています。

Actualized MarketingのプロセスにおけるMobileValueとその可能性

Actualized Marketingには核となる考え方があります、これは個人とソーシャルネットワークを中心としたマーケティングコミュニケーションのプロセスです。ここでもう一度そのプロセスをご覧頂きましょう。

個人は、評判(Reputation)→参加(Join)→納得(Agree)→交換(Exchange)→行使(Use)→評価(Assess)→共有(Share)というプロセスでソーシャルプラットフォームに参加します。そして、このプロセスの中で個人が所有するMobileValueは下記のMobileValue Connect図のような位置づけでその価値が発揮されます。

Actualized Marketingプロセスの中で、個人はさまざまなソーシャルネットワークとつながり、そのプラットフォームにおいて企業や他者とさまざまなコミュニケーションを行います。ソーシャルメディアには、色んなつながりを顕在化する力があります。Social Graph=人と人のつながり、Interest Graph=興味のつながり、Relation Graph=つながりのつながり、Co-work Graph=人と仕事やプロジェクトによるつながり。

これらのつながりにMobileValueが乗っかり流れることにより、強力なネットワーク効果が市場に多大な影響と変化を及ぼすことになります。もうひとつ重要なのがインターネットだけではなく、リアルショップもその対象となっていることです。Actualized MarketingはO2O(Online to Offline)の領域も含めたマーケティング理論でもあります。

たとえばクックパッドでレシピを検索することはもちろん、自分が開発したレシピを投稿し、やさい便で商品を購入したり、などECサイトを含めたコミュニティでMobileValueを発揮することもあれば、coconalaやlancersのようなマーケットプレイスで自分のスキルやノウハウをMobileValueとして提供することもあります。

現状でのやり取りは、電子マネーや企業ポイントが中心に交換がなされていますが、今後いろんなソーシャルプラットフォームが発生してくると電子マネーや企業ポイントだけではなく、もっとさまざまなMobileValueの交換が成立する可能性があります。

人間は面白いもので、貨幣的な価値ではないものにも魅力や意味を見出します。ちょっと前の時代、20世紀最高の数学者といわれたポール・エルデシュが小切手付きの懸賞問題を出題したそうです。問題がとても難しいのでなかなか正解者がでなかったそうですが、見事に正解した人は、エルデシュのサイン入り小切手を換金せずに額縁に入れて飾っていたそうです。つまり回答した人たちは、金銭的価値よりもエルデシュとつながることや難問を解いた人である、という“評判”を手に入れることに喜びを見出していたのです。

ここでもう一度Actualized Marketingのチャートをご覧ください、プロセスは「評判(Reputation)」で始まり「交換(Exchange)」を通じてつながることでした。このようにさまざまな価値がデジタル化されてMobileValueとして流通し交換されること、今後ソーシャルマーケティングには、貨幣や貨幣以外のさまざまな価値の交換機会がたくさん生まれてきます。このMobileValueと上手にかかわることができる企業、その企業が大きな成功をおさめることは間違いありません。

MobileValueはスマートフォンで拡張する

MobileValue Connectの図をご覧いただくとわかるように、MobileValueの交換のためのインタフェースにMobileDeviceが大きな役割を果たしています。最近はiPhone5が発売されて大反響を起こしていますが、2011年度の通期では携帯電話の出荷数のうちスマートフォンが2,417万台に拡大し総出荷台数の56.6%を占めているそうです*。通信キャリア各社もスマートフォンへの移行を進めていますので、今後はスマートフォンの利用台数が増えていきます。

Facebookのマーク・ザッカーバーグCEOも「これからどんどんスマートフォンに注力していく」と宣言しているとおり、すべての個人はPCよりもスマートフォンでネットやSNSにアクセスすることが当り前になります。PCの前にずっと座っていることはできませんが、スマートフォンの場合は365日24時間自分の側にあります。この違いがとても重要です。

スマートフォンは、多機能になるにつれ自分の身体の一部のようになってきます。自動車を運転している時のような車幅感覚に似たようなもの、身体器官の一部が拡張する感じです。朝起きてから通勤通学、就業中や食事中でさえスマートフォンでネットにアクセスするのは習慣のようになっていて、すべての個人は、この自分の身体の一部のようなスマートフォンを通じていろんなソーシャルネットワークにアクセスしてMobileValueを交換することになります。

また、残念ながらiPhone5には搭載されませんでしたが、これからスマートフォンにはNFC (Near Field Communication)*の搭載がデフォルトで組み込まれることになります。このNFCが組み込まれるとリアルショップや個人間での決済や交換などが容易になり、紙や硬貨の貨幣よりも、電子貨幣の利用が一気に増えることが予想されます。もちろん、コミュニティや企業のポイントも同じ状況になります。これでMobileValueがO2O(Online to Offline)の領域に拡大していくことは確実です。

近い将来、デジタル化したMobileValueにそれぞれの利用者が交換価値を認めた場合には、たとえば飲み代の割り勘を日本銀行券の電子貨幣の交換はもちろん、交換しあう相手の了解があれば、某SNSで取得した特別な権利あるいはポイントと交換する、というようなこともできるようになるかもしれません。

Actualized MarketingのポイントはMobileValueの交換

このように、日々、いろんなソーシャルネットワークにアクセスしてMobileValueを交換し、リアルショップではNFCで決済をするということになると、当然、その履歴をデジタル化して蓄積することになります。このMobileValueをデジタル化して蓄積できるようになると、個人の消費行動やスタイルが大きく変わっていくことになります。

個人は自ら関わったソーシャルネットワークやリアルショップのMobileValueの交換の履歴を知ることで、これから使用するMobileValueの配分を考えることができるようになり、また、自らのMobileValueを活かして得ることができた価値を知ることもできるようになります。つまり、これは自分の潜在的価値を顕在化することになり、自分の創造性を有効に発揮できるようになります。

では企業はお客様のために何をすればよいのでしょうか?それはお客様のMobileValueの交換の機会を創出し提供し、それを効果的に利用してもらうための支援をすることによって、お客様との強い関係性を築くこと、そして、その関係を長期的に継続しお客様の生活そのものをよりよくすること。

ここで最も大切なことは、お客様のMobileValueをよりよい価値にするための活動をお客様と一緒に行うことです。そのためには企業は、自らのサービスに合った形でMobileValueの交換をしていただくための仕組みと環境と機会を自らが持つ必要があります、それにより、お客様のよりよい人生のための支援を行う、それがActualized Marketingなのです。

次回はMobileValueが数多く交換され、利用されることによって生まれるSocialValue(ソーシャルバリュー)についてご説明しましょう。

Connect a Value and Make a Liberty!

*スマートフォン出荷台数

*NFC(near field communication

Actualized Marketingの詳細はこちら
  1. ソーシャルメディアプラットフォーム上で潜在的価値を顕在化するActualized Marketingとは何か?その1
  2. ソーシャルメディアプラットフォーム上で潜在的価値を顕在化するActualized Marketingとは何か?その2
  3. これからのマーケティングの最重要キーワードMobileValue(モバイルバリュー)とは?― Actualized Marketing(アクチュアライズドマーケティング) 詳論その1
  4.  SocialValueが社会とマーケティングを変える― Actualized Marketing詳論その2-前編
  5. 未来をひらくSocialValue― Actualized Marketing 詳論その2-後編
  6. 流動化とコネクトそして交換-Actualized Marketing 詳論その3
  7. 潜在価値の顕在化-Actualized Marketing詳論その4

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