Facebookのリーチが激しく落ちた、というのは複数回に渡って記事にしています。
ここから推察できることは、2つあります。
1つはリンク付き投稿がリーチを落としている可能性です。EdgeRank Checkerの調査でも、また私達が調べたところでも、リンク付き投稿を行っている場合、リーチが大きく減少する傾向が見られます。リンク付き投稿でオウンドメディアの更新などを告知するという手法を取っているページは多いと思いますが、それが一因となっているかもしれません。
もう1つは、EdgeRank Checkerの指摘する『ミームコンテンツ』を使用したことがあった場合にリーチ減少する、ということ。ミームコンテンツとは、流行ったネタを模倣して、流れに便乗するコンテンツのことを指します。これはFacebookの求める高品質とはかけ離れており、ニュースフィードから追放されていくことが予測されます。
両者はこれまで、ウェブサイトのトラフィックと、Facebookページのリーチに大きく寄与してきたところです。しかし、その有効性が低下したのであれば、Facebookページのコンテンツ戦略を考え直す必要があるでしょう。
その中で、大きく3つのことを考える必要があります。
- ターゲットの明確化
- コンテンツ
- 投稿後に行うこと
1. ターゲットとする人々を明確にする
口を酸っぱくするほど、この言葉を言っていますが、それほどまでに重要なのです。特に、アルゴリズムが変更されたことによって、一層増したように思っています。
EdgeRank Checkerの調査には、以下のように書かれています。
全てのコンテンツタイプのエンゲージメント率を見ると、3.49%から3.86%へ、小さな改善がなされています。リンクのエンゲージメント率については、1.5%から1.9%と上がっていますが(通常の傾向ではあるのですが)、低調と言えるでしょう。
さらに、リンクのクリックが影響を受けているかを調べました。リーチあたりのクリック数は、0.71%から0.85%へ上昇しています。これは、Facebookは平均的なユーザーエクスペリエンスを向上させていることを示唆します。興味深いことに、ファンあたりのクリック数も0.05%から0.06%と安定していました。
リーチする人は減る一方、記事に対して反応する人が増えたというのは、ユーザーにとって最適な記事が表示されやすくなったことを証明します。言い換えると、リーチが減ったからと言って、より“一般受け”するコンテンツを投稿すれば、激化したニュースフィードの表示戦争に巻き込まれやすくなる、ということが推測できます。
つまり、Facebookを使ってコンテンツを届けたい人を明確にしない限り、どんなことをやっても小手先程度のものにしかなりません。
自分達がどのような組織で、どのようなことをやっていて、その上でどのようなコンテンツが必要となるのか。最低でもこの3つは考えておきましょう。
また、Facebook Insightを使うことで、Facebookページのファンの所在や年齢と言った情報を知ることができます。ファンの多い地域に関するコンテンツや、年齢・性別に合わせたコンテンツも考えておきたいところです。
2. 投稿するコンテンツについて
実際に投稿するコンテンツについても考えてみましょう。
近況の更新
近況の更新はリーチを得やすい一方で、いいね!やコメントといったエンゲージメントを得難いという特徴があります。『感動したらシェア』のようなこともできますが、これは立派なミームコンテンツなので、行わない方が賢明です。
プレーンテキストで反応を得るためには、何らかのアクションを促すのが一番です。「◯◯と◯◯、どっちが好きですか?」のような質問を行い、コメントで答えてもらうという方法が考えられます。
写真
写真についても使い方を考える必要があります。LOLcatのような興味を引くような画像+文章だけでは、前述のミームコンテンツとして判断されるため、逆効果になる可能性があります。
例えば、クエスチョンを行うときの参考画像として使ったり、セミナーの状況を説明付きでアップロードする、サービスのアップデート情報などを画像付きで紹介する、といった使い方が考えられます。
三番目の画像付きで紹介する、というのはHubSpotのPinterestを参考にしてみるとよいでしょう。
リーチが下がったと言ってもリンク付き投稿は重要
リーチは確かに減少しました。しかし、だからと言ってリンク付き投稿を無くしてよいというわけではありません。適切な人に投稿が届くようになったのですから、むしろ重要性が増したと言っても良いでしょう。
ただ、EdgeRank Checkerはリーチを低下させるリンク付き投稿について、次のような可能性を示唆しています。
- 主にリンクを投稿をしているページ
- 頻繁に自分のウェブサイトへのリンクを投稿しているページ
この2つを繋げて考えれば、自分のウェブサイトのリンクだけを投稿していると、リーチがさらに下がりやすい、ということです。
これを回避するには、投稿のリンク先を自分達だけに絞らない、ということが必要です。自分達のファンにとって有益なコンテンツを見つけたら、それを投稿してみましょう。
ブログを書くときでも、記事と関連する有益な情報源をリンクとして使います。そうすることで記事の信頼性、ひいてはサイトの信頼性も向上するからです。Facebookページの投稿も同じように、有益な情報を提供することで、ファンから信頼を得ることに繋がります。
3. 投稿後にブログへ埋め込みを行う
投稿後に、Facebookの投稿をブログ記事に埋め込むことで、投稿へのアクションを増やせる可能性があります。
一時的にしか効果のないFacebook投稿が、検索エンジンからの訪問者により長期間に渡ってインタラクション可能な状況にしてくれる、というメリットがあります。ここで共有やいいね!を押した人の影響力によっては、再びソーシャルメディア上で反応が得られるかもしれません。
Barret Farmiloe氏の言う通り、“コンテンツ制作者にとって必要な1ステップ”になるでしょう。
最後に
Facebookページのコンテンツ戦略について考えてきましたが、大事なことがひとつあります。
それは、ここで考え直した方法は、必ずしもリーチを元に戻せるとは限らない、ということです。
例えば、プレーンテキストだけの近況の更新を使えば、リーチを取り戻せる可能性があります。しかし、プレーンテキストだけでは、いいね!や共有といったインタラクションを得ることが難しく、本当に、ただ見られているだけという状況になりかねません。
リーチがあっても反応が無いことと、リーチが少なくても反応が多いこと。どちらがマーケティングとして有効でしょうか? 訪問者を獲得する上でも、また顧客サービスを考える上でも、後者の方が圧倒的に有効です。
つまり、限られてしまったリーチの中で、効果を最大限に高めるというのが、今回のコンセプトでした。あるいは、今後のFacebookのアップデートによって、リーチが元に戻るかもしれません。そのときに、効果を最大限に高めるという運用方法は、絶大なリターンを得ることができるようになるでしょう。