『ブログで書くことに困った? それならBLOG TOPIC GENERATORを使ってみよう!』で決めた今週のブログのお題5回目、今回は『モバイル決済について、あなたの上司が知りたがっている7つのこと』です。
スマートフォンが普及したことで、モバイル決済の手法が多様化してきました。そのモバイル決済の導入を考える上で「モバイル決済は使われているのか?」「ユーザーはモバイル決済を望んでいるのか?」といったデータが必要となるのではないでしょうか。前半にそうしたデータをまとめた上で、後半はウェブサイト上でモバイル決済を活用するための方法をまとめました。
モバイル決済において、知っておくべきこと
1. そもそもモバイル決済とは?
まずは根本的な質問から、回答してみましょう。
モバイル決済とは、スマートフォンやタブレット端末を使って決済を行うことを言います。一般的に決済は料金の支払いや送金を行い、売買を完了させることを指します。これをモバイル上で行うから、モバイル決済と呼ぶのです。
モバイル決済は基本的に、その場で現金を使わない決済です。それを実現するために様々な方法が用いられています。
2. モバイル決済の規模は?
モバイル決済が実際に使われているかどうかを知るには、合計の決済額を知ることが一番でしょう。
調査会社のガートナーは毎年、モバイル決済の合計額予測を発表しています。ガートナーが発表した2013年の予測額は2350億ドルで、前年比よりも44%増えています。まだ2013年の実績額は発表されていませんが、順調に成長しているだろうと見込まれています。
さらに同調査では、2017年には7210億円に達するだろうと予測されています。スマートフォンの普及と、最後のモバイル市場であると言われるアフリカでモバイルが広がることによって、この成長が支えられると考えられています。
3. 日本のモバイル決済の規模は?
世界的なモバイル決済額は分かりました。しかし、日本ではどうなのでしょうか?
最も近い数字は2011年の数字でしたが、シードプランニングによれば2兆5000億円となっています。合わせて、この数値は5年かけて約3倍の7兆8000億円に膨らんでいくと予測されています。その途中である2013年は、2011年比で2倍とはいかないまでも、それに近い上昇を見せていますので、5兆円近い決済額になっていると考えられます。
ただ、同資料の世界全体の数値を先ほどのガートナーと照らし合わせると、若干低くなっているため、日本の数字もこのときより大きくなっている可能性もあります。
4. ユーザーがモバイル決済を使う理由は?
モバイル決済を活用する理由を、アメリカのFiservが調査しています。その調査によれば、モバイル決済を使う理由は大きく5つ上がっています。
- 70% : 便利だから
- 55% : いつでもアクセスできるから
- 49% : 時間の節約になるから
- 46% : 手軽だから
- 30% : PCが近くにないから
便利だから、というのは若干大雑把ですが、他の項目と合わせて考えると便利と考える理由が見えてきます。
まずは、モバイルは肌身離さず持っているデバイスなので、常にアクセスできるため、支払おうと思ったときにすぐ支払うことができるのです。時間の節約についても同様で、わざわざPCを起動させたり、ATMや銀行に行かなくても決済ができます。
- 常に決済できる状態にある
- そのため時間をかけずに決済を行える
以上の2点がユーザーが便利だと考えるポイントと言えるでしょう。そして、便利だからユーザーが増えるのです。
5. どんな方法があるの?
最近はモバイル決済の方法と言えば、SquareやCoineyなどの外部デバイスを使ったものが注目を集めていますが、これだけに留まりません。
SMS
日本でSMSはあまり使われていませんが、海外では主流のモバイルコミュニケーション手段です。
SMSを利用したモバイル決済の利点は、決済を行う人が銀行口座やクレジットカードを持っていなくてもよい、ということにあります。
2010年にマッキンゼーが行った調査によれば、世界で25億人の成人が銀行口座など、お金を預ける方法を持っていません。一方でmobiThinkingが発表した2013年の資料では、モバイルキャリアのサブスクライバーは68億人に達しており、モバイルを持っていても銀行口座を持っていないという人は多いのです。こうした人々は銀行口座から引き落とされるかわりに、モバイルキャリアからの利用料という形で支払いを行います。
先進国やある程度裕福となった国ではユーザーが減っていますが、特にアフリカ、インド、ラテンアメリカで主流のモバイル決済です。
クレジットカード認識型モバイル決済
クレジットカードの番号をカメラを通じてスキャニングし、暗証番号やセキュリティコードを入力することで決済が行えるようになります。名義や番号など、モバイルでクレジットカード決済を行う際に面倒な入力作業を省くことができます。
また、モバイルだけでなくPCでも使うことができる形式です。
オンラインウォレット
和訳するとネット上にある財布という意味合いで、ネットにある財布から支払いを行うサービスのことです。この著名なサービスにPayPalやGoogle Walletがあります。
予めオンラインウォレットサービスに銀行口座やクレジットカードを登録しておきます。決済が必要となった際に、連携しているサイトであれば、オンラインウォレットにログインし、簡単に決済を行うことができます。
このサービスのメリットは、予め登録を行っておけば決済ごとに情報入力する手間が省けるということ、サイトが顧客の口座情報などを保存しないためセキュリティ上も安全性が高まるといったことがあげられます。
他のページへ移動する、そもそもモバイルに入力フォームが最適化されていない等の問題点もありましたが、最近ではその問題点も解決されつつあります。
NFC決済
モバイル決済の本命と言われた決済方法です。NFC対応のスマートフォンが普及したことによって、脚光を浴びるようになりました。
NFC決済を簡単に言ってしまえば、かざすだけで決済を行うことができるものです。想像がつき難い方も、お財布ケータイやSuicaを想像すれば分かりやすいでしょう。その手軽さゆえに注目されたのですが、現状としてはiPhoneにNFCが搭載されていなかったり、技術的に複雑であることや、コストが大きいなどの問題によって普及が当初思われていたほど進んでいません。
NFCは決済以外にもコンテンツ配信やNFCに対応した家具のコントロールなど、様々な分野への応用が期待されています。
Bluetooth決済
Bluetooth決済は、かつてNFC決済に集まった期待を引き継ぐかのように、注目されている決済方法です。
NFCは通信範囲が端末から10cm以内と短い範囲に留まりますが、Bluetoothは数〜数十メートルをカバーします。店舗内に複数の発信器を設置することで正確な現在地を特定できるようになるわけです。これはつまり、顧客がどのように店内を移動したか分かるため、配置などを最適化するためのデータとして役立ちます。これだけでなく、店舗の近くを通ったユーザーに対し、クーポンやセール情報などをアプリを通じて提供することによって、いわゆる客引きのようにも使うことが可能です。
決済だけでなく、その他の領域でも活用が期待できるため、今、注目を集めているのです。PayPalとAppleはそれぞれ、Bluetooth決済のテストを行っています。
QRコード決済
QRコードは認知度が高く、利用方法を誰もが知っています。そのQRコードを使った決済方法も存在します。
例えばMasterCardはQRコード決済を提供しており、オーストラリアとヤンキーススタジアムでテストを行っています。
日本ではZNAPがQRコード決済を発表しており、先日正式に提供を開始したようです。ITmediaの記事によればZNAPのアプリに予めクレジットカードを登録しておく必要があるものの、あとは店舗に設置してあるQRコードを読み込み、その場で注文・決済ができるようになるそうです。
専用リーダーを使ったモバイル決済
SquareやCoineyのように、専用のカードリーダーを使ったモバイル決済です。リーダーをスマートフォンのイヤホンジャックに挿入することで、スマートフォンがクレジットカードリーダーになり、その場でクレジットカード決済を行えるようになります。
この形式の優れたポイントは、中小企業、あるいは個人事業主でも簡単にクレジットカード決済を導入できるところにあります。特にアメリカはクレジットカード社会で、小額の支払いでもクレジットカードを用いることが多くありました。クレジットカード決済を導入しようとすると多くの手間と高いコストがかかっていましたが、Squareによって短期間で、かつ安価にクレジットカード決済が行えるようになりました。
日本はクレジットカード社会ではありませんが、サービスが徐々に拡充されているため、導入が広まる可能性があります。
モバイルバンキング
忘れてはいけないのがモバイルバンキングです。
モバイルバンキングはモバイルから銀行口座を使って残高照会や振込を行えます。大手銀行はスマートフォンでアプリも提供しており、スマートフォンのブラウザから操作する必要がありません。
現金の引き出しや預け入れ以外はATMと遜色の無い操作を行うことができるので、便利なものとなっています。
キャリア決済
日本でスマートフォンが普及する前は、モバイルキャリアで決済を行うのが主流でした。例えばコンテンツ課金を行う際に、キャリアの決済ページへログインし、そこで決済を行っていました。
キャリアが利用料と一緒に集金をおこなうため、ユーザー側に手間がかからず、便利な方法でしたが、スマートフォンが普及したことによってアプリ内決済やオンラインウォレットへユーザーが移りつつあります。ただ、フィーチャーフォンユーザーの方が多数派であるため、今後もしばらくはキャリア決済がモバイル決済の中で重要なポジションを保ち続けるでしょう。
6. ウェブサイトでモバイル決済を導入するなら?
上記の方法から、ウェブサイトを導入するのに適した方法は、およそ3つ考えられます。
- モバイルウォレット
- モバイルバンキング
- キャリア決済
最もコストがかからないのは、モバイルウォレットです。マーチャントアカウントを開設すれば、大方のモバイルウォレットは無料でウェブサイトに導入することができます。月額も無料の場合が多く、かかるのは手数料のみです。PayPalの場合、国内の決済手数料は3.6% + 40円となっています。このことから、ECサイトの主流はモバイルウォレットになりつつあります。
モバイルバンキング、キャリア決済を導入する際に、大手銀行をひとつのモジュールで複数導入することができたり、同じく3大携帯キャリア決済をモジュールひとつで対応できるようにする、といったサービスもありますので、この2つを導入したいのであれば、そちらを使うとよいでしょう。
StripeとWebPay
もうひとつ、5.で紹介しませんでしたが、StripeとWebPayというサービスもあります。このサービスはAPIで提供されており、ウェブサイトに貼付けることで簡単に決済サービスを導入することができます。導入費用・月額は0円で、手数料のみとなっています。
詳しくは、こちらの記事をご覧下さい。
7. モバイル決済をウェブサイトで導入したら?
モバイル決済はモバイルで行うものですから、ウェブサイトのモバイル最適化は必須です。
例えばnetbiscuitsはモバイルユーザーの76%は、モバイルに最適化されていないウェブページから離脱していくという調査結果を発表しました。
特に決済が絡む行為はユーザーが非常にセンシティブになります。
- スマートフォンでもボタンが押しやすい
- 入力フォームが小さすぎない
等々、スマートフォンでも活用しやすいサイトに見直していきましょう。
最後に
いかがでしたでしょうか。
モバイル決済は早いスピードで成長しており、ユーザーもそれに適応しつつあります。
日本では小額のクレジットカード決済はあまり行われませんが、ネット上で少額決済を行う機会は増えています。モバイルでECを利用する人も増えていますので、モバイル決済に対応することは急務と言えるのではないでしょうか?
(Photo: Mobile Phone with Money in Kenya by Erik (HASH) Hersman)