皆さんはOTTという言葉をご存知でしょうか?
OTTとはIT用語の一つで、「Over The Top」の略称です。インターネット回線を通じて、メッセージや音声、動画コンテンツなどを提供する、通信事業者以外の企業のことを、OTTと呼びます。
特にモバイル回線を提供している通信事業者は、これまでインターネット回線+独自のアプリケーションを提供していました。i-Modeを想像すると、分かりやすいと思います。通信事業者が提供しているので、通信料を請求するときに、サービス利用料を乗せられたため、利用者は決済を特に気にすることなく利用していました。
しかし、今ではスマートフォンが普及し始め、i-Modeのようなサービス展開がし辛くなっています。一方で、FacebookやTwitter、LINEやYouTubeなどのOTTサービスは、インターネットに接続できれば利用できます。通信速度は高速化し、決済方法もApp StoreやGoogle Playによる決済、PayPalのようなオンライン決済など多様化しているため、多くのユーザーは苦労することなくサービスを利用できるようになっています。
つまり、通常の通信サービスとは違う、まさに目標や限界を超えている仕組みなのです。
OTTによる具体的なサービスとは
OTTサービスと言われるものには動画配信サイトのYouTubeやHulu、Netflix、ボイスチャットメッセンジャーのSkypeやLINE、さらにはソーシャルメディアのTwitterやFacebookなどがあります。
OTTはもともとはパソコン向けのインターネットサービスを指す言葉でしたが、スマートフォンが普及したことで、スマートフォン向けのOTTサービスも多数提供されています。例えば、メッセンジャーアプリのLINEはもともと、スマートフォンアプリとして提供されていました。
今では、パソコン・スマートフォンの両方の提供するマルチプラットフォーム戦略が取られており、通信事業者に頼らないサービス展開が広く行われています。
OTTの種類
OTTのサービスは近年、世界では非常に利用者が増えて人気となっていますが、様々なタイプがあるため非常に分かりにくいと言われています。なので今回は大きく分けて3種類あるのでその3種類を紹介します。
- PC型
- セカンドスクリーン型
- テレビ•レコーダー型
まずPC型は、ISP(インターネットサービスプロバイダ)から提供されたブロードバンド回線を経由したネットワーク、ハードウェアは各PCメーカーのOS上で、ブラウザを経由してサービスを提供するモデルです。
セカンドスクリーン型は、スマートフォンやタブレット向けのモデルでブラウザではなくアプリ経由でサービスを提供しています。なので専用アプリをダウンロードする必要があります。
テレビ•レコーダー型は、テレビやレコーダーから直接OTTサービスを享受するモデルで、この型はさらに内蔵タイプ、STBタイプ、スティックタイプの3つに分類が可能です。
- 内蔵タイプはテレビやレコーダーが既にOTTしており、インターネットにテレビやレコーダーを接続さえすれば簡単にOTTを楽しむことが可能。特に難しい設定も必要ありません。
- STB(セットトップボックス)タイプは既存のテレビにSTBを接続することでOTTが利用可能になるというシステム。別に最新のテレビでなくても良いというのが特徴です。
- スティックタイプは、STBよりも手軽で中にOS、アプリ、ネットワーク接続機能が既に盛り込まれているので余計な配線や設定もいらず、ただスティックをテレビのHDMI端子などに挿すだけでOTT非対応のテレビでもOTT利用可能にしてしまいます。
参考 : OTTは「限界を超える」か(ZDNet)
OTTによる通信事業者の土管化
2012年頃から急速に通信関連のニュースで利用されるようになり、そうした中でOTTと対をなすと言われているのがこの「土管化」という言葉です。英語では「Dumb pipe(ダムパイプ)」と言われています。
前述の通り、今まではi-Modeのように通信事業者がサービスを提供していました。いわば、インフラからコンテンツまで、全てを握っていた状態です。ポテトチップスで例えると、じゃがいもを作り、工場で加工し、流通を行い、販売までを一手に担っていたようなものと言えます。
しかし、マルチプラットフォームに対応できるサービスが普及したことによって、通信事業者はそのサービスのパケットを、文字通り土管のように消費者に流すだけの存在となりつつあります。これが、通信事業者の土管化です。
まとめ
これまでにOTTやOTTのサービスについて述べてきましたが、OTTといっても複雑なので正確に理解するのは難しいことだと思います。最後に私が述べたかった事を箇条書きにまとめました。
- 我々がよく利用するLINEやTwitter、Facebook、Skype動画サイトのYouTubeなどはOTTによるサービスで展開されているということ
- OTTのサービスはPCやスマートフォン、タブレットなどの様々なデバイスで映像やコンテンツを利用できるという特徴を持っているということ
- OTT事業者はインターネット上に独自のWebサイトやソフトウェア、端末などを通じてこのようなサービスを提供しているということ
です。ここまで読んで頂き、ありがとうございました。
(この記事はインターンシップ生の菊池彩花が執筆したものに、松下が一部加筆と修正を加えたものです)
(Photo: iPhone 4’s Retina Display v.s. iPhone 3G by Yutaka Tsutano)