「新株予約権無償割当て」。英語ではライツ・オファリングとも呼ばれています。熟語の羅列のように見えますが、概観を理解するのはそれほど難しいことではありません。
新しく発行する株の予約権(=新株予約権)を、既に株式を保有する株主に対して無償で付与する増資方法です。付与される新株予約権は、保有する株式数によって変わります。例えば、1株に付き新株予約権を1個付与される新株予約権無償割当てが行われたとき、500株を所有していたら、新株予約権が500個付与されます。
無償で得た新株予約権を、株主は3つの方法で利用できます。
- 新株予約権の行使
- 新株予約権の売却
- 1と2のどちらも行わない
1. 新株予約権を行使する
予約権を行使し、設定された分の金額を払込むことで、新たに株式を取得することができます。
一般的に、新株予約権は市場価格よりも低く設定されており、また行使できる期間が定められています。
2. 新株予約権の売却
新株予約権は取引所などの市場で売却することができます。
3. 1と2のどちらも行わない
行使も売却も行わない場合、新株予約権はライツ・オファリングの種類に応じて扱いが異なります。
- ノンコミットメント型ライツ・オファリング : 発行会社が主幹事証券会社との間にコミットメント契約を締結しない手法で、この場合、期間を過ぎた新株予約権は消滅します
- コミットメント型ライツ・オファリング : 発行会社が主幹事証券会社との間にコミットメント契約を締結する手法で、期間を過ぎた新株予約権を発行会社が引き取ります。この際には交付財産が支払われることになります
最後に
ライツ・オファリングは新株予約権を付与された株主が権利行使することで買い付けができ、不要な場合には売却が選べるため、既存の増資方法に比べて持ち分の希薄化が防げたり、株主にとって不利益が生じにくいものとなっています。
2010年の段階では、国内で一度例があっただけのようですが、2014年の現在、SBI証券の銘柄情報を見ると2社が行っているようです。
参考:
- ライツ・オファリングについて(SBI証券)
- 新株予約権無償割当(ライツ・オファリング)(マネックス証券)
(Photo: Question Mark Graffiti by Bilal Kamoon)