モバイルインターネットの世界は前例が無いほど爆発的な広がりを見せています。その中でも広がりを牽引しているマーケットとして、中国があげられます。
中国政府の工業情報化部が発表した2012年11月末のデータによれば、携帯電話利用者は11億人を超えています。矢野研究所によれば(※PDF)2012年の世界の携帯電話契約数は66億5717万8000契約なので、利用者と契約数を単純比較することはできませんが、中国のマーケットの大きさが窺えますね。
では、中国の今のスマートフォン事情はどうなっているのでしょうか?
アプリプロモーションプラットフォームのUmengが発表した「2013 Umeng Insight Report」をもとに、見てみましょう。
2013 Umeng Insight Report
1. アクティブなスマートデバイスは7億台
2013年第4四半期に中国でアクティブなスマートデバイスは7億台となりました。スマートデバイスと呼ばれるものの範囲は広いですが、概ねがスマートフォンとタブレットであるようです。
2013年第3四半期は5億9000万台でしたが、増加した理由のひとつに、スマートデバイスへの買い替えが考えられるといいます。中国にもいわゆる“二年縛り”が存在し、縛りが切れたあとにモバイルの買い替えをするわけですが、そこで初めてスマートフォンを持った、という人が多いようです。
2. ハイエンドスマートフォンが27%
利用されているスマートフォンは149ドル以下のローエンドモデルが最も多くなっていますが、次いで多いのが500ドル以上のハイエンドモデルです。
携帯研究家の山根康宏氏によれば、中国で1000元(約160ドル)以下は当たり前で、今では500元(約83ドル)の端末もあるのだとか。ハイエンドモデルの需要の多くは都心部の富裕層なのでしょう。ちなみに500ドル以上の端末の80%はiPhoneだそうです。
中国ではAndroidのシェアが80%弱で、iPhoneが15.5%と他を大きく引き離しています。Android端末を提供するメーカーで最も人気なのがSamsungで、全体の1/4ほどを占めます。それに続くのがレノボ(8%)ですが、アクティブな端末トップ10を見るとSamsungとXiaomi(7%)が占めており、着々とXiaomiが2位に近づいています。
3. スマートフォンユーザーの半分はWi-Fiを利用している
中国だけではなく、多くの国にはパケット定額という制度が無いため、一定のパケット通信枠を購入して使う従量課金制が取られています。チャイナユニコムの例を見ると300M/30元となっており、日本円にすると約500円です。
また、通信速度もあまり早く無いと言われているため、パケット節約と通信速度確保のためWi-Fiを利用するユーザーが年々増えています。2013年1月には38%だった接続率は年度末に52%へと成長しています。
4. ソーシャルメディアへのアプリコンテンツ共有が急速に増えている
ソーシャルメディアに共有できるアプリが増えていますが、中国では共有を行うユーザーが爆発的に増えています。2013年3月から11月までに、テンセントのWeChatへの共有は8600%、QZoneへの共有は2900%の増加を見せました。
このうち、WeChatに共有されたアプリの1/3以上はゲームでしたが、QZoneはエンターテインメントが最も多くゲームはそれほど多くないと、プラットフォームの違いがはっきりと出ています。
最後に
中国はパケット通信が高く公衆無線LANが整備されているため、タブレットの需要が大きくなっており、普及率は日本の3倍にものぼるというデータもあります。
スマートフォンばかりに注目しがちなスマートデバイスですが、タブレットはPCの市場を食うように成長し、またファブレットというジャンルも出てきていますので、各ジャンルに目を向けたいところです。
(Photo: Mobile Vs Mobile by Justin See (coming back))