Facebookは以前、ニュースフィードに表示するコンテンツを機械学習(Machine Learning)によって判別するアルゴリズムを適用しました。
これ以降もニュースフィードアルゴリズムは進化を続け、ユーザーの望んでいる情報を届けるよう変化しています。こうした変化には前述の機械学習や、人工知能、深層学習といった最新のテクノロジーが生かされているのです。
しかし、そのテクノロジーはどのような形で利用されているのでしょうか?
最近EdgeRank Checkerに掲載された「How Facebook Uses Artificial Intelligence in the News Feed」では、数学的な部分には触れず、どのようなことを行っているのかが分かりやすく書かれていますので、ご紹介します。
FacebookはニュースフィードでAIをどのように利用しているのか?
ニュースフィードへ最近行われた重要な変更のひとつに、Facebookが人工知能や機械学習、深層学習(Deep Learning)といったものを通じて、投稿の判別するようになったことがあげられます。一般的なマーケターにとって、これらのテクニックやテクノロジーの差を気にする必要はありません。簡単に捉えるため、このブログでは人工知能(Artificial Intelligence: 略してAI)のテクノロジーにフォーカスして触れていきます。
Facebookはニュースフィードを管理するために、AIを使って投稿をより深く理解し、判別しています。多くのマーケターにとって、理解し難いか、不明瞭なものでしょう。AIは私達の文化において強い意味合いを持っていますが、ニュースフィードにおいての役割を深く理解するには、AIを複雑な数学として考えることをオススメします。それはつまり、彼らが投稿の中で探している「シグナル」を発見する確率を高めることについてです。
類推
それでは、類推から始めましょう。適切ではありませんが、私は典型的なAIを構築する上で推論は最も簡単な方法のひとつだと考えています。私は架空の人物について、いくつかの条件を提示します。あなたは、これをどんな人だと思いますか?
- フットボール
- レターマンジャケット
- 野球帽の後ろかぶり
- 茶色の瞳
ほとんどの人は、上記の条件を見て「jock」である可能性が高いと考えたでしょう。(注 : jockとは、いわゆるスクールカーストの頂点にいるような人気者の男性のこと。アメリカ特有の表現なので詳しくはWikipediaを参照に)
ここに何が起きたのでしょうか? 私達の脳は、いくつかのシグナル(サッカー、レターマンジャケット、野球帽)を受け取り、「jock」という可能性が高い予測と予測します。
なぜ、これらの信号は「nerd」とは対極の「jock」を予測するシグナルとなったのでしょうか?(注: nerdとは、内向的であったり、文化系の部活に属する人たちのこと。日本では一般的にオタクを指す言葉ですが、同じくアメリカ特有の表現なのでWikipediaを参照してください) 多くの場合はポップカルチャーと過去の経験を混ぜあわせて、フットボール、レターマンジャケット、野球帽の後ろかぶりといった条件から「nerd」よりも「jock」と見る傾向にあります。
それでは「茶色の瞳」という情報はどんな意味を持っているのでしょうか? 多くの人は「茶色の瞳」を無視するはずです。脳は、なぜこの条件を無視したと思いますか? アメリカ文化において、茶色の瞳をしたステレオタイプの人はいません。故に脳はこのシグナルを無視したのです。これは大切なことなので、覚えておいてください――脳はキーとなるものを探しているため、必ずしも全てのシグナルが必要なわけではない、ということです。
私達の脳は、さらに一歩先へ進んで、この人という人物の特性を予測し始めます。この人は知的な人間か? 運動能力はどうだろうか? これらは、統計的なデータではなく、あなたの固定概念によって作られた仮説にすぎません。
FacebookのAIはシステムを用いて、投稿について深く理解し、判別しようとしているわけです。
私達は類推を行う前に、それぞれの言葉が持つ意味について考えるべきでしょう。
- フットボール、レザーマンジャケット、野球帽の後ろかぶり = 重要なシグナル
- 茶色の瞳 = 不要なシグナル
- 「jock」 = AIが導いた答え
- 固定概念 = FacebookのAI
Facebookはミームコンテンツ、いいね!ベイト、オリジナルコンテンツを識別しているのか?
いいね!ベイトのシグナル:
- 「いいね!」「コメント」「シェア」のような言葉
- 珍しいエンゲージメントのパターン
ミームコンテンツのシグナル:
- ネガティブフィードバックの理由が「ミームコンテンツ」だから
- 画像上のテキストを解析する
オリジナルコンテンツのシグナル:
- 使われている画像/動画は以前からオープングラフに存在していた?
- このリンクは以前に投稿されたことがある?
※上記のいくつかは仮説です。
Facebookマーケティングへ生かすには?
今のところ、Facebookが九分九厘、特定のコンテンツタイプにペナルティを課していることに関係しています。重要なのは、そのコンテンツタイプになるのを回避することです。このブログの目標は、あなたのようなマーケターが直感的にペナルティを回避できるよう、コンテンツタイプを分類する方法への理解を助けることです(Facebookを欺き、ルールへの無理解を示唆するわけではありません)。
Facebookはニュースフィードアルゴリズムの変更を継続的に行っていきます。多くの場合、Facebookは変更を行ったロジックと背景を説明してくれるでしょう。そうでない場合も、多くのページデータを観察することで、変更があったことが分かります。Facebookから発表があったときは、あなたのテクニックが適切であるか確認するために、数学的な観点から意味を理解することが重要です。
私達が推論を用いる場合、Facebookがニュースフィードでステレオタイプと判断するか否かを特定する必要があります。投稿がステレオタイプに該当する場合、ニュースフィードへ表示されます。投稿が「負」のステレオタイプに該当するのであれば、ページに対してペナルティがあるでしょう――それは絶対に避けなくてはなりません。
これはEdgeRank Checkerの「How Facebook Uses Artificial Intelligence in the News Feed」を翻訳したものです。
最後に
Facebookは文字に含まれた意図から、それがよいシグナルか、悪いシグナルかを判断し、ニュースフィードへの表示を決めているということがわかります。
つまり、Facebookに投稿するときには「このコンテンツにはどんなシグナルがあるだろうか?」と推論することによって、表示の可能性を高めることができるわけです。
あなたの投稿にはよいシグナルが含まれているでしょうか? 多くのリーチが得られた投稿と、そうではなかった投稿を比較することで、シグナルを推理してみましょう!
(Photo: Discover Supercomputer 3 by NASA Goddard Space Flight Center)