ガートナーは2016年に、世界のトップ50銀行の25%はアプリストアを立ち上げるだろうと発表しました。ちなみにトップ50の銀行はこちらで見られます。1位は中国工商銀行、2位はドイツ銀行、3位はBNPバリパとなっており、日本では8位にゆうちょ銀行がつけています。
この背景には、2つの問題があるとしています。
1つ目は現金の振込や引き出しといった、一般的な銀行業務をどこで行えるのか、アプリの総数が増えることで分かりにくいくなること。2つ目は銀行がウェブサイト上で提供するアプリ数が増加することによって、アプリがどこにあるのか分かりづらくなるということです。
ガートナーのKristen Moyer氏は銀行業務の収益と顧客体験にマイナス影響があることに言及し、これを解消するひとつの手段として、コストと複雑さの問題を回避した上で銀行がアプリストアを開設することをあげています。
必要性を考える上で、最も重要なことはアプリの総数と、APIプラットフォームの存在(もしくは欠如)にあるそうです。アプリケーションが多ければ、ユーザーが出来ることが増えるます。APIプラットフォームがあれば、ディベロッパーやパートナーが顧客や従業員向けのアプリを開発し、展開できるアプリの数が増えるようになります。
その上で、3つのことが必要になると記しています。
- アプリストア : 小売業や投資家向けに設けるもので、各種アプリの説明やサポートといった、一般的なアプリストアで得られる情報が分かるようにし、その上でアプリをダウンロードできるようにします。ただ、Androidであれば、その場でインストールすることが可能ですが、iOSの場合はiTunes経由でしかできないためコネクトするなどの配慮が必要です。APIプラットフォームを展開し、15以上のアプリを提供している場合、アプリストアを設けることが望ましいとしています。
- ウェブサイトの最適化 : 一般的な銀行のウェブサイトは、ユーザーにとって使いにくいため、ユーザーが使いやすいウェブサイトに再構築する必要を説いています。このパターンは、アプリの数がそれほど多くない銀行が用いると良いようです。
- 現状のまま : 提供しているアプリが1つだけであれば、現状のままのでも十分に対応できるようです。ただ、その場合でもユーザーが必要としている情報へすぐに辿り着けるよう、設計を最適化する必要があるでしょう。
こうした動きが2014〜2015年にかけて行われ、2016年には25%に達するだろう、とのこと。すぐにアプリを探せるようにすることで、顧客体験を向上させ、さらにAPI利用しやすくしてコラボレーションを生みやすくなります。
日本の銀行3大バンクや農林中央金庫は、トップ50の銀行に入っています。日本の銀行も、こうした顧客体験を高める動きを取るのでしょうか? 要注目です。
(Photo: Forex Money for Exchange in Currency Bank by epSos .de)