“待つ”という行為は、その先にワクワクするものが無いと嫌になりますよね。じゃあ、もしその“待ち”が無くなったとしたら?
PayPalは“時間の無駄”という視点で調査を行い、インフォグラフィックを公開しました。
「オンライン決済が今後、現実世界でも使われるにはどうすればいいか」という部分にも触れている興味深いものなので、読んでみましょう。
“待つ”ということの終わり
PayPalは15カ国15000人以上を対象に調査を行いました。まず、前提として、回答者の78%はオンライン決済を簡単なものだと考えていますが、40%はモバイルデバイスで決済を行ったことがありません。
さて、まず、“待ち時間が無い世界”について「現金の無い世界はどうして楽園のように見えるのだろう?」「どんな技術があなたの生活を改善していく?」という2つの分野で質問が行われました。それぞれ、4つずつ設問が用意されています。
現金の無い世界について
- 待機列から解放されるから(56%) : ブラジル、シンガポール、中国からの支持が大きく、やはり意味のない時間の浪費が嫌いという人は多いようでした。
- 財布を持ち歩かなくてもよいから(43%) : 中国とトルコの人が多く支持していて、財布を持ち歩かなくてもよい世界は携帯電話を持ち歩けばよくて、外出が楽になるというメリットがありますね。
- レストランでの支払いから解放されるから(33%) : シンガポールとオーストラリアの人はこの項目を重要視していて、つまり「俺が払う」「いや私が」のような支払いの争いから解放され、奢るにせよ割り勘にせよ、簡単になるわけです。
- 自販機が便利になる(24%) : 中国とトルコがこの項目を支持していて、これまで以上に自販機による販売が増えて便利になるだろうとしています。
技術による改善について
- もっと簡単に繋がることができるようにする(35%) : これはスペインとロシアが特に関心を持っていて、これは単に決済だけじゃなく、インターネットや人との繋がりの話を指していると思われます。
- より多くの選択肢と機会を与えてくれる(20%) : 日本と中国が支持しており、テクノロジーによって、今までよりも多くの選択肢の中から決定できる環境を欲しているようです。
- 全てをより早くできるようにする(18%) : ブラジルとフランスが支持していて、テクノロジーによって滞りが無くなるよう望んでいます。
- よりセキュアに行えるようにする(16%) : ブラジル、トルコ、アメリカに支持者が多く、インターネットを介して行う行動がセキュアであることの重要度は日に日に増しています。
続いて、上記の回答について国別に詳しく示されました。回答がひとつということは無いので、国で最も多くの回答を集めたものが書かれているのでしょう。特に気になったところを抜粋していきます。
- 日本 : 不要なストレスや、様々な遅延によって50%の人々が必要以上の忍耐をしている。
- アメリカ : 53%の人は、購入途中でタイムアウトが起きなければ、よりセキュアになったと感じる。
- イタリア : 54%の人は、買い物の際に並ぶことを無くしたいと思っている。
- 中国 : 45%の人は現金を持って支払うことに不満を抱いている。
- イギリス : 34%の人はパスワードやPINコードを覚えることが大変だと感じている。
この回答を全体的に見てみると、キャッシュレスを一番求めているのは中国のようにも見えます。中国は具体的に現在の決済についての不満を述べており、現金の煩わしさを指摘してます。また、中国はモバイル決済が最も盛んな国のひとつであり、現金を面倒なものと捉えていても不思議ではありません。
次の回答は、「失われた時間が戻ったらどこに充てたい?」というものです。大まかにリラックス(46%)、自分の時間(34%)、親しい人との時間(43%)に分けられます。この中でも、特筆されているものを抜き出してみます。
- リラックス : スペイン人の35%は余暇として使いたいと述べています。スペインはシエスタ(昼寝)が有名ですから、なんとなく納得できますね。
- 自分の時間 : 日本人の64%は自分自身のために時間を充てたいと考えており、中国人の48%は運動に充てたいとしています。全体的なものを見てみないとはっきりとは言えませんが、日本人の考え方が窺い知れます。
- 親しい人との時間 : アメリカ人の54%は家族との時間が最も優先度が高いと考えています。
こうした時間を実現するために、克服しなければなけないことが次項に上げられています。ここはテクノロジーで解消するべきことは当然ながら、心理的な面も含まれています。特にネット通販を対象としたものが多く見受けられるので、インターネットの信頼性を向上させていくことが最善の克服方法なのでしょう。
- オンライン詐欺の恐怖(62%)
- 支払い詳細が盗まれることへの懸念(57%)
- 製品の質に対する懸念(48%)
- 海外の商品を購入したときの、商品到着にかかる時間(48%)
- 購入する前にアカウント登録を行わなければいけないことへの不便さ(39%)
- 不明瞭な支払い金額に対する不快感(38%)
- 注文した商品が必ず届くかという心配(34%)
最後に「時間の無駄だと思う時間はどれか?」という質問が行われ、最も多くの回答を集めたのは郵便局、銀行、店舗でした。次点に病院、公共交通機関、燃料への支払いとなっています。郵便局、銀行、店舗だけ50%を超えており、テクノロジーによる改善が最も必要な部分でしょう。
(PayPal Forwardより)
ちなみにもう一枚インフォグラフィックが公開されており、こちらは新しいエコノミーに関しての調査結果です。機会があれば、今度別の記事にて読んでみたいと思います。
まとめ
PayPalはブログのいち段落目に、こう書いています。
古くからある時間、技術、お金に関する格言に見られるように、それぞれは強い関係があります。「Time equals money(時は金に等しい)」、「Money doesn’t grow on trees(金は木にならない)」、「Need is the mother of invention(必要は発明の母、need isよりもnecessaryの方が一般的)」……これらはほんの少数にすぎません。
これらの言葉から見られるように、時間、技術、お金、どれかを進化させようと思えば、ひとつを見るのではなく、全体を見渡さなければなりません。つまり、インフォグラフィックに見られるような煩わしいことを解決するためには、現場レベルだけの改善では限界があるということです。今回のインフォグラフィックは、そうした“煩わしさ”の調査を行ったものであり、次にPayPalが仕掛けてくることの一旦が垣間見えるような気がします。
今後もPayPalから目が離せないですね。