今年に入り、少しずつ人気が上昇し始めた「3Dプリンター」。ニュースなどで聞いたり、見たりしたことはあるけど、実際に使ってみた人はまだ少ないのではないでしょうか。最近では低価格な3Dプリンターの販売も始まり、企業や個人などで購入する人が増えてきています。今回は、「家庭用3Dプリンター」についてご紹介します。
3Dプリンターってなんだ?
2012年頃から徐々に人気が高まり始めた3Dプリンターですが、その名を世間に大きく広めたのは、2014年5月8日に起きた「3Dプリンター銃製造事件」がきっかけではないでしょうか。Googleトレンドでも2014年5月の時点でグラフが大きく山になっているのがわかります。その後は検索も落ち着いていますが、事件の前よりもグラフが少し上の位置にあるので、水面下で人気が出始めているのではないでしょうか。
最近では家電量販店でも手頃な価格で「家庭用3Dプリンター」の販売が始まりました。店頭では実演もあったようで、目にした人もいるかもしれません。購入者層としては、企業と個人半々程度で、企業だと今まで外注で頼んでいたものが自社で製造できるようになるメリットがあり、個人ではフィギアなどの趣味からちょっとした家庭用品まで自分で作ることができます。
3Dプリンターの種類
3Dプリンターは、いくつかの造形方式を用いて作られています。家庭用3Dプリンターは、現在主に熱溶解積層方式を用いたものが多く販売されています。簡単に3Dプリンターの造形方式を見ていきましょう。
熱溶解積層方式(FDM法)
(TOPPAN SOLUTION より)
名前の通り、熱を加えて溶かした樹脂を断面を積むようにして造形していきます。2009年にFDM法の特許期限が切れたため、家庭用のような低価格な3Dプリンターが購入できるようになりました。
光造形方式
(TOPPAN SOLUTION より)
3Dプリンターの中で最も歴史の古い方式で、液体樹脂に紫外線を当てて硬化させることで造形していきます。
粉末焼結積層方式(SLS法)
(TOPPAN SOLUTION より)
粉末状の素材にレーザーを当てて焼結させて造形していきます。2014年2月でSLS法の特許期限が切れたため、これから家庭用3DプリンターにSLS法のものが低価格で出るかもしれません。
インクジェット方式
(TOPPAN SOLUTION より)
液体の樹脂を噴射し、赤外線で硬化させて造形していきます。
粉末固着積層方式
(JAPANESE MAKERS より)
石膏などの素材を固めて造形する方式になります。着色機能が備わったものが多く、よくテレビで自分のフィギアを作ってくれるお店などがありますが、この方式を用いて作られています。
使用される材料
このような造形方式によって使用される材料も違います。今回は、主に家庭用3Dプリンターでよく使用される2つの材料をみていきましょう。
ABS樹脂
耐熱温度が70度〜100度程度で、冷やすと固まる性質があります。常温や衝撃に強いので、雑貨や家庭用品などを作るのに適しています。表面をヤスリなどで削って加工できるので、色を塗ることもできます。
PLA樹脂
植物性で出てきている樹脂のため、造形中の臭いも気になりません。ABS樹脂よりも固いのですが、温度に弱いのが弱点です。ヤスリなどの表面加工や着色は、ABS樹脂よりも劣ってしまいます。
家庭用3Dプリンター
低価格になったとはいえ、価格は3万円〜50万円程度と幅広く設定されています。大体10万円弱〜20万円強くらいの価格が多いのではないかと思います。
The Micro
Kickstarterにて出資募集している小型3Dプリンターです。造形最大サイズは幅109×奥行113×高さ116mm、重さが1キロと計量にできています。片面185ミリメートルの正方形で、机の上に置いても場所を取らずに作ることができます。価格は約3万円です。
FLASHFORGE CREATOR
2色のプリント機能が付いていて、SDカードに入っているCREATOR専用ソフトをパソコンにインストールし、3Dプリンターと接続して使います。重さが15キロ、最大造形サイズが幅225×奥行145×高さ150mmなので、大きめのものも作ることができます。価格は、109,000円で、Amazonでも販売しています。
SCOOVO C170
日本製のため初めてでもわかりやすい日本語の説明書が付いています。非加熱式造形ベッドを採用しているので、やけどの恐れもなく安全に使うことができます。材料はPLA樹脂を使用し、様々な色が用意されています。重さ15キロで、最大造形サイズは幅150×奥行150×高さ175mmとなっています。シルバーとブラックの2色があり、価格は194,400円です。Amazonでは、シルバーモデルが129,240円で販売されています。
Cube
(3D Mini Twin より)
本体の色がシルバー/ホワイト/マゼンタ/ブルー/グリーンの5色あり、好きな色を選ぶことができます。重さ4.3キロと軽いので、移動も楽に行なうことができます。最大造形サイズは、幅140×奥行140×高さ140mmとなっています。材料は、ABS樹脂とPLA樹脂の2つ使用でき、全16色揃っています。価格は、160,000円です。
MakiBox A6 HT
「MakiBox A6 LT」は、PLA樹脂しか使用できませんが、「MakiBox A6 HT」ではABS樹脂とPLA樹脂の2つを使うことができます。本体を組み立てて使用します。ネジなどで止める簡単な作業で、2時間ほどでできるそうです。造形最大サイズ幅150×奥行110×高さ90mmとなっています。価格は、47,800円とお手頃です。
最後に
家庭用3Dプリンターはいかがでしたでしょうか。3Dプリンター1つとっても、様々な造形方式で作られていることがわかりました。今まで、産業ロボットとして活躍していた3Dプリンターですが、これからは家庭で気軽に3Dプリントが楽しめる時代になりました。家庭に1台あると意外と役に立つかもしれませんね。
(Photo: Makerbot 3D Printer by Don DeBold)