そもそも、バイヤーペルソナとは何なのでしょうか? 簡単に言えば、あなたの製品やサービスを購入して欲しい人の理想像です。この理想像をターゲットとして、マーケティングを行います。
既にマーケティングを行っている方は、性別や年齢といった人口統計的なデータを分析し、理想像を作り上げているはずです。しかし、この理想像は輪郭こそ見えていますが、細かなディティールがわからないという欠点があります。大多数に向けてマーケティングを行うならこの理想像だけでも行えました。しかし、大多数に向けてマーケティングを行うと、どうしても無関係の人まで巻き込んでしまうため、質の高い見込み顧客はごく一部になり、費用対効果は悪くなってしまいます。つまり、質の高い見込み顧客を獲得するためには、より細かいディティールまで作りこむ必要があるのです。
細かなディティールとは、例えばその人はどんな部署にいて、抱えている問題は何か、そしてあなたの製品やサービスを利用する理由といった、ターゲットを絞り込むのに必要な情報です。つまり、バイヤーペルソナを作成するということは、自分達がフォーカスすべき人はどういう人で、どのような問題を抱えるのかといったことを明確化することです。これを作成すると、以下のようなメリットがあります。
- 獲得した見込み顧客や顧客のセグメンテーションがしやすい
- キーワード戦略が作りやすくなる
- 作成するコンテンツに優先順位がつけられる
- 求めているものが分かるので、特定層に向けたマーケティングキャンペーンを行いやすい
こうした情報を全社的に共有することで、一貫したマーケティングを行えるようになります。
既存顧客の分析から始めよう!
それでは実際にバイヤーペルソナを作ってみましょう。作成する上で一番最初にしたいのは、既存顧客の分析です。製品やサービスを購入した既存顧客は、なぜ買ったのか、買う人はどういう傾向があるのかを理解する上で、最も重要な分析対象と言えます。
もうひとつ、営業チームからも意見を集めたいところです。営業チームは顧客と多く関わっており、データだけでは分からない、肌で感じたことをアドバイスしてくれます。マーケティング、営業の両方から人員を出して、一緒にバイヤーペルソナを作成するのも良い型が作れるのでオススメです。
ここでは、分析する上で見ておきたい4つのポイントを、HubSpotの「Buyer Persona Template」参考にして見ていきます。
1. Who(どんな人?)
最初に、ペルソナの人としての属性を考えます。必要となる項目はB2CやB2Bといった条件によって異なりますが、B2B企業の場合、必ず考えておかなければいけない項目として、以下のものがあげられます。
- 専門性: どんなことを得意としているのか
- 部署: どんな部署で働いているのか
- 会社: どのような会社か、企業規模はどのくらいか
- コミュニケーション方法: メールを良く使う、どのSNSを利用している、どうやって情報収集をしているのか
- 人口統計的なデータ: 年齢、性別
どのように情報収集を行っているのかという項目は見落としがちですが、ターゲットの多いSNSや利用の多いデバイスを絞り込むことでフォーカスすべき導線を特定できます。また、細かく設定すればするほど、セグメンテーションも細かく行えるようになります。
2. What(抱えている問題は?)
次に、その人が抱えている問題、解決したいことを考えます。あらゆるコンテンツを作る上で、問題を特定し、解決する方法を示すことは重要です。ある意味でコンテンツの基軸となる部分なので、可能な限り明確にあげましょう。
- 目標: KPIの達成、難しかったり面倒な手順を簡略化したい
- 問題: 目標を達成するために解決しなければならないこと
- あなたが解決できること: 目標の達成の壁となる問題について、あなたが解決できること
3. Why(なぜ今まで解決できなかったのか?/なぜあなたは解決できるのか?)
問題が特定できたら、その人はなぜ解決できないのかを考えます。人がその製品やサービスを欲しいと思う理由は、解決できないことを解決できるからです。解決できない理由を明確にした上で、次はあなたの製品が買われる理由を記載します。
- 解決できない理由: 古い方法を採用していてデータを新しく移行するのが難しい、多くのことを処理しなければならず忙殺されている
- あなたの製品やサービスが買われる理由: データ等を移管するのが簡単、多くのことを自動化できるので忙しさが緩和される
営業チームと一緒に作成する際、最も意見を聞きたいところはここです。製品やサービスを導入するときに、導入できない理由があることも多いですが、単にデータを見るだけでは分かりにくいところです。しかし、そうした顧客と向き合ってきた営業チームは、この理由を多く経験しています。
4. How(どのような言葉が必要か?)
どのような人なのかを定めたら、最後に、その人に購入してもらうのに必要な言葉を決めましょう。具体的にはその人に対するベストな見せ方(マーケティングメッセージ)や、必要になるコンテンツ、売り文句などです。
- マーケティングメッセージ: その人が求める解決方法を明確に提示する(例: HubSpotはオールインワンのインバウンドマーケティングソフトウェアです)
- 必要になるコンテンツ: その人が購入を検討するために必要なコンテンツ(例: 似たような企業の導入事例)
- 売り文句: その人が見たときに興味を持つであろう言葉、エレベーターピッチを参照
理想像は、おそらくひとつにまとまらないはずです。提供するサービスによって、ひとつやふたつ、物によっては2桁になるかもしれません。しかし、一気に全てを作成する必要はなく、少数のバイヤーペルソナに向けて、マーケティングを初めていきましょう。
初めていくうちに、現実との差異が出てきたときは、常にバイヤーペルソナの改善をしていきましょう!
(Photo: Personas by Nicolas Nova)