インバウンドマーケティングはAttract、Convert、Close、Delightで構成された4つの図が有名です。
この4つを実行することは、インバウンドマーケティングを成功させる条件ですが、それぞれの段階でどのような目標があり、達成するために何が必要なのかということを明確にしなければ、見込んだ成果が上がったか、効果を上げるにはどうすればいいのかといった、効果測定や改善を行うことができません。
今回は1つ目の段階、Attractを実行する前に考えておきたい3つのことをまとめていきます。
目標を設定する
ウェブマーケティングを通じて、達成したい目標(=獲得したい顧客の数など)を最初に設定します。目標を設定する際には、SMARTの法則を意識しましょう。
- 具体的(Specific): 具体的な目標を設定することで、チーム内で起こる認識のズレを無くすことができます。「たくさん」「できれば〜もする」といった曖昧な表現は避けましょう。
- 測定可能(Measurable): 目標に掲げる指標は必ず測定できるものにしましょう。測定できるものを指標にすることで、進捗状況を確認し、改善が行えます。
- 達成可能(Achievable): 目標は非現実的なものではなく、達成可能な範囲で設定しましょう。あまりに遠い目標は、「どうせ無理だから…」とモチベーションの低下に繋がります。
- 関連性(Relevant): 目標はあなたの会社や部署が最終的に達成したいゴールと関連性のあるものにします。
- 時間制限(Time-bound): 目標達成に、時間制限を設けます。
補足になりますが、ゴールと目標は似て非なるものです。ゴールは最終的な終着点、目標は終着点に至るための通過点と言い換えられます。会社の目指すゴール、部署の目指すゴールに到着するためには、どのような通過点をたどればよいのかを想像しながら、目標を設定しましょう。
バイヤーペルソナを作成する
あなたの製品を買う人の理想像(バイヤーペルソナ)を作ります。
一般的に製品・サービスを販売する際には、その製品を買って欲しい人の像を作成します。ここで作成する像は年齢、性別、住んでいる地域といった人口統計の情報を利用しており、どのような人なのかという大枠は見えてきます。
しかし、製品を買おうと考える人は何らかの問題を抱えていて、その問題を解決するために購入します。つまり、製品を買う人の理想像を作るのであれば、抱えた問題のように背景の情報を加える必要があるのです。どのような部署で、どんな問題を抱えていて、なぜそれが解決できないかといった情報を加えてバイヤーペルソナを作成することで、ターゲットをより明確にでき、マーケティングを行いやすくなります。
例えば、以下のようなメリットが挙げられます。
- 自分達の潜在的な顧客がどのような問題を抱えているのかわかっているので、キーワード戦略が作りやすい
- バイヤーペルソナを複数作成していた場合、ターゲットがわかっているので、別々の対象へ効果的なマーケティングキャンペーンを行える
バイヤーペルソナはマーケティングチームのみで考えるのではなく、実際に顧客や見込み顧客と接している営業チームと連携することで、より実態に近いものを作成することができます。
以前、バイヤーペルソナを作成する方法をまとめていますので、あわせてご参考ください。
コンテンツ戦略
ターゲットが決まり、目標を定めたら、ウェブサイトに潜在的な顧客を集めるにはどうすればいいのか、という点に移っていきます。人を集めるために必要なのがコンテンツであり、そのコンテンツを作る際に必要なのがコンテンツ戦略です。
コンテンツ戦略を練る際には、ビッグキーワードとスモールキーワードという2つの概念を頭に入れておきましょう。
1. ビッグキーワード: 検索数が多く、競合相手も多くいるキーワードのことです。たとえば「カラオケ」というキーワードは非常に一般的で検索数が多く、カラオケを運営する会社など競合が多くいます。こうしたキーワードで上位を取ることは困難です。しかし、「カラオケ」というキーワードで検索したユーザーは、具体的に何をしたいのかはっきりとしません。非常に多くのトラフィックを獲得することはできますが、何をしたいのかはっきりしていないため、コンバージョンを得にくいキーワードなのです。上位表示を狙うことは難しく、コンバージョンのリターンも少ないため、最初にフォーカスするキーワードとしてはオススメしません。
2. スモールキーワード: 検索数が少く、競合相手も少ないキーワードです。先ほどの「カラオケ」を例にすると、このままではユーザーが何をしたいのか分かりませんが、「カラオケ 練習」というキーワードでは何をしたいのかはっきりと分かります。検索数は少くなりますが、同時に競合も多くはありません。しかも目的がはっきりしているため、目的に沿った製品・サービスを提供していれば、比較的コンバージョンを得やすいキーワードと言えます。競合相手が少ないので上位表示を狙いやすいため、最初にコンテンツを作成する際はスモールキーワードを意識しましょう。スモールキーワードはひとつひとつのページへのアクセスは少ないですが、全てを集めればサイトのアクセスの多くを稼いでいるので、ロングテールキーワードとも呼ばれます。
コンテンツ戦略を考える上で最も重要なのは、ユーザーを知ることです。先ほどバイヤーペルソナの設定をご紹介しましたが、あなたが訪問してほしいユーザーは、一体どんな問題を抱えているのでしょうか? 再び「カラオケ」を例に用いれば、以下のようなものがあげられます。
- カラオケで高音を出すための発生方法が知りたい
- 歌う際の音域を広げるためのトレーニング方法を知りたい
- 声量を上げるために腹式呼吸を身につけたい
ユーザーの持つ問題点を整理し、解決に導けるコンテンツを考えましょう。
また、ユーザーとのコミュニケーションを図るコンテンツを作成することで、多くの人にサイトを訪れてもらうことができます。コンテンツはコンバージョンを生み出すだけではなく「この業界といえばこのサイト」というように考えてもらえるようになり、将来の顧客獲得や、会社の人気に繋がって、事業全体に良い影響を与えます。しかしどのようなコンテンツでも良いわけではなく、あなたの事業とユーザーに関連したものでなければなりません。例えば、以下のようなコンテンツを考えます。
- ユーザーが興味を持つであろうコンテンツ
- ユーザーが思わず言及したくなるコンテンツ
こうしたコンテンツをウェブサイト、SNS、Slideshareのようなコンテンツプラットフォームなど、どのような場所で公開することが適切かということを考え、コンテンツ戦略を練り上げていきます。
最後に
最後にもう一度要点を整理すると、
- 集客で達成したい目標を明確に定めて、
- ウェブサイトで集客した際に来てもらう理想像を作り、
- 理想像に沿った人がきてもらうためのコンテンツを考える。
非常にシンプルですが達成したいことと、達成するための手法を練っておかなければ、成功は遠ざかっていきます。今回はAttract段階のものを紹介しましたが、次回からはConvert段階以降のものをご紹介していきます。
(Photo: IBM Think D100 Test by H. Michael Karshis)