エンドツーエンドの原理を持つインターネットが登場したことで、私たち顧客の文化やスタイル、企業を取り巻く業界や市場などの環境も変わってしまいました。それは、流動化と顕在化という現象です。
流動化
私たちの周りを見てみると、プロフェッショナルとアマチュアの境目が曖昧になっています。たとえば自分で演奏した楽曲や歌をYouTubeやUstreamで流すと口コミで話題になり人気が出て、それをきっかけにさまざまなイベントに呼ばれてパフォーマンス活動を行う人が出てきています。
企業における業界や業種も境界線が流動化しています。たとえばAmazonは物販、自社開発のソフトウェアを提供したり、クラウドコンピューティングをサービスしています。Googleは広告、自動車、エネルギーなど多岐にわたって事業を起こしています。
さまざまな企業が既存の事業から派生したアプリケーションやソフトウェアでいろんな領域に侵入していく、その一方でいままで競合だった企業同士でアライアンスを組んで新しいサービスを提供したりしています。つまり流動化という現象が起こっています。
これは、インターネットの本質であるエンドツーエンド上にWebが構築されたこと、ビッグデータを扱えるクラウドコンピューティングや多様なソフトウェアの提供、数多くのソーシャルメディアの活性化による環境変化が流動化の原因となっています。
直接つながったもの同士が、オープンにそれぞれの価値を共有することでより高い価値を創造する、これが流動化の一番大きな影響です。
顕在化
そしてなによりも画期的なことは、ソーシャルメディアの登場でエンドツーエンドにつながったものどうしが可視化（見える化）されたことです。Facebookにおいては、友達の友達の友達…と関係を追いかけることができます。どの企業と誰がつながっているのかも確認することができます。
また情報を取得する端末もスマートフォンが大量に普及して、私たちは365日24時間Webにアクセスすることができます。GPS（Global Positioning System）や位置管理ソフトにより場所における関係性も連携して、Webとリアルな店舗やイベントが連動し顕在化できるようになりました。
これらのアプリケーションやシステムがフリーのサービスで提供されているので数多くの人が利用することになりました。フリーとオープンの効果によって、顧客と企業、コミュニティどうしのつながりや関係性が広い範囲で顕在化したのです。
スマートフォンの普及やソーシャルメディアとインターネットのインフラ化により、情報量も爆発的に増大しました。それに合わせるようにしてFacebookは広告の表示に関して顧客自身が可否を選択できるような機能を搭載しています。いま市場では、顧客は自分で広告を取捨選択し、情報の有効性を友人や知人の評判を通してフィルタリングするようになりました。つまり情報選択の主導権は顧客に移ったのです。
これからの視点
マーケティングで重要なのは、セグメントとターゲットの明確化です。Webマーケティングも同様に、流動化と顕在化する市場を横断的かつ縦断的にとらえて、杭を撃ちこむように事業基盤を持つことが求められます。
では、杭を撃ちこむような視点とはどのようなものでしょうか。
それは、資産化という考え方です。
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